万川集海 第13回:タンスをレジまで運べますか--階層型ストレージ管理のお話

牧野貴志(日本IBM) 2007年04月12日 08時00分

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家具店での風景

 ここ数年、私の勤務地である京葉湾岸地帯で大型家具販売店が多数開店している。北欧デザインとお手軽プライスをセットで大々的に広告を出していたフランチャイズなどは記憶に新しいだろう。高度成長中のおなかと裏腹にスリムな財布の私にとって、お手軽プライスはとても助かる。

 さて先日、友人の引越しを機に、大型家具店まで足を運んだのだが、そこで見たお手軽プライス以上にすばらしい店舗スペース有効利用の工夫について紹介したいと思う。

 まず、店に入ると2階に案内される。そこは一面家具の展示スペースとなっており、8畳大ほどの部屋を模した区画がたくさん用意されていた。家具とそれを置く部屋のイメージが想像しやすい作りだ。さらに進むと、種類ごとに分類され家具が展示されている。本棚を探していた私たちは本棚陳列スペースまで進み、かなり混雑していたこともあって手早く買うものを決めた。

 その時気づいたのだが、展示物の近くに置いてあるべき在庫が見当たらない。まさか展示物をそのままレジに持っていくのだろうか。こんな大型の荷物が入るカートは目に付かなかったぞ。しかも、周りの客はすずしい顔をしている。

 家具の重さを想像しつつ、最近調子が悪い自分の腰に手を当て思った。欧米ではこんな重い家具を平気でレジまで持って歩いていくのか? 体格が違うといってもそれでは壁がありすぎる。よく見ると、家具の横に張り紙がある--「商品名 価格 列 棚」。他の展示家具についても同様だ。なるほど、どこかに在庫の置かれた「列 棚」があるんだな。

 順路を辿ると1階に進むことになるが、そこに壮大な在庫スペースが存在した。無機質な空間に段ボールが山積みされている。大型のショッピングカートも用意されている。ここで段ボールをカートに乗せてレジへ進めということのようだった。

そこにはなくとも見つかる仕組み

 この仕組み、どこかで見覚えがある。2階のきれいに飾った展示スペースでは魅力的に家具が展示され、1階の無機質な在庫スペースでは客が在庫を見つけてレジに運ぶのに特化された設計となっている。そして、これら展示スペースの家具と在庫スペースの家具は、「列 棚」という表示でつながっている。

 つまり、2つの領域とそれをつなげる目印、これはIT業界で最近はやりの「情報ライフサイクル管理」(ILM:Information Lifecycle Management)を実現するテクノロジーのひとつである「階層型ストレージ管理」(HSM:Hierarchical Storage Management)と同じだ。

 HSMとは、文字通り階層的にストレージを管理する手法だ。この家具店に例えると、展示スペースは高価な高性能ディスク装置、在庫スペースは安価なディスク装置、張り紙の情報はどこに保存されていようとアプリケーションが場所を気にしなくてもよいHSM技術となる。

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