カネ、ヒト、時間いらずのIT内部統制--第1章:IT内部統制の基本要素を理解する

木村尚義 2007年04月16日 13時13分

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 この連載では、金融商品取引法(日本版SOX法)などの施行対象の会社と取引のある中小零細企業が、今までに投資してきたIT資産を使い、カネ、ヒト、時間をかけずにIT内部統制の自主基準を推進することを目指す。

IT内部統制では一体ナニをすればよいのか?

そうはいっても、IT内部統制では、一体どのようなことを実際に行えばよいのだろうか。

 内部統制とITとの関係は、それぞれに独立したものではない。そのため、図1のように、内部統制の5つの基本的要素とひとまとめで評価することになる。

内部統制とITとの関係 内部統制とITとの関係。5つの基本的要素とITとの関係は、それぞれに独立したものではない。

 では、これらの5つの基本要素についてひとつずつ見ていこう。

統制環境

 ここでは、会社のITに関する基本方針の作成と明示が求められる。

 「IT利用とIT統制のための基本方針の明示は、経営者の理念を伝えるものであり、経営者がおこなう。情報責任を担当する取締役がいれば、この方針に従って統制活動を整備する」(システム管理基準 追補版より)

 極端な話であるが、コンピュータを使った業務を一切行わない会社であれば、「わが社はITによる統制を行わない」という基本方針も選択できる。 その場合でも、内部統制が必須である以上、手作業で可能な統制環境を整える必要はある。

 話をIT内部統制に戻そう。 IT内部統制は人にかかわるものなので、経営者による社員への方針の教育が必要だ。

 こんな例がある。

 個人情報保護法が施行された際に、社内にある各パソコン(PC)のフロッピーディスク(FD)の差込口に「使用禁止」ラベルを張った。FDが使えるPCを限定することで情報の漏えいを防ごうという意図だったのだが、そのことは社員に対してきちんとした説明が行われていなかった。さらに、社員がFDの使えるPCを利用する際には、自分の名前をノートに書くという手続きが必要だった。これが面倒だということで、社員には大変評判が悪かった。

 その後どうなったか。従業員の多くは、どうしてもFDを使いたいときに、自分のPCに張られた使用禁止ラベルを、破らないように丁寧にはがしてFDを使うというのが定例となってしまったという。

 この例のように、方針教育が事前にきちんと行われていないと「ホントはいけないんだけれどね……」といった例外が横行してしまう。

 先の例では、「万が一、情報漏えいで問題が発生した場合に、会社が、あなた(従業員)を守るためにラベルが貼ってあるのだ」ということを教育し、理解を得ておけばよかったはずである。

 なお、統制環境は、IT内部統制のすべてにかかわってくる要素である。そのため、今回の連載で紹介するWindows Serverの機能のすべてに関係してくる。前回紹介した連載の構成と紹介する機能についても、改めて確認しておいてほしい。

第1章IT内部統制の基本要素を理解する
第2章ユーザーIDの集中管理 【Active Directory】
第3章誰がファイルを読み書きできるのか【アクセス許可(共有フォルダ、NTFS)】
第4章PCの集中管理【グループポリシー】
第5章社内のPCを守るために【セキュリティの維持に必要な機能】
第6章監査のために【監査機能】
第7章リスク対策のために【バックアップ機能、ボリューム・シャドウ・コピー】
第8章既存のPCをActive Directoryに登録する

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