イントラネットにTwitter:企業のための17のマイクロブログツール - (page 2)

文:Dion Hinchcliffe 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-06-19 08:00

  • 検索と分析。企業には企業向け検索エンジンが導入されていることが多いが、GoogleがTwitterの検索には向かないように、利用するマイクロブログツールが効果的な検索機能を備えていることを確認すべきだ。それに加え、Twitterを見れば明らかなとおり、価値があるのはそのアプリケーションそのものだけでなく、そのアプリケーションが持つエコシステム全体であり、マイクロブログツール単体では、マイクロブログの持つ価値のほとんどは活用できない。社会分析は比較的新しい分野であり、ソーシャルメッセージングの分析からほぼリアルタイムに価値を引き出すことのできる最善のツールの一部(例えばTweetMeme)は、現在の所Twitterでしか動かすことができない。しかし、だんだん選択肢は多くなってきている。Wikipediaに掲載されている、ソーシャルネットワーキング分析ツールの膨大なリストを参照してもらえばわかりやすいだろう。
  • シングルサインオンおよびID。ほとんどの管理の行き届いた組織には、中央で管理されたIDと、LDAPやActive Directory、あるいはその他の企業規模のセキュリティシステムで管理されたシングルサインオンシステムが必要となる。
  • 企業ポータルのサポート。多くの組織は、イントラネットのサービスを提供するポータルシステムを標準化している。そのような環境でマイクロブログをホスティングするためには、例えばJSR-168ポートレットやWSRPなどを用いるか、IT部門が独自にソリューションを編み出す必要がある。
  • データのアーカイブ化/ECMの統合。Web 2.0の波はエンタープライズコンテンツ管理(ECM)業界ではほぼ落ち着いてきたが、この業界は現在はソーシャルメディアを取り入れ、取り扱う方向に向かっている。エンタープライズコンテンツの世界と企業ソーシャルメディアを融合させるというプロセスを進めるためには、最低でもSOX法や、法的文書保存義務などのさまざまなコンプライアンス要件を満たすため、ソーシャルメッセージングの情報がECMアーカイブシステムに流れ込むようにする必要がある。私は最近、Enterprise 2.0導入の動向についての記事を書いたが、調査によればこの断絶の問題を解決している組織は全体の25%しかない。
  • 社内でのホスティング。社外のSaaSやクラウドコンピューティングが注目を集めており、大企業でさえこれらのサービスの導入率が高くなってきているが、多くの組織では依然として、さまざまな理由から、社内にホスティングし配置できるマイクロブログソリューションを必要としている。
  • マルチレベルアクセスとグループ管理。消費者向けのマイクロブログツールでは、個々のユーザーのメッセージを誰が閲覧できるかという問題については、すべてのメッセージを公開するか、承認されたフォロワーにだけ見えるようにするかという二者択一になることが多い(現在のTwitterも同じだ)。ビジネスの世界はもっと複雑であり、秘密情報やその他の管理が必要なコンテンツの流れをコントロールし、特定の相手にだけ届くようにするため、グループレベルのアクセスコントロールが必要となる。これはオープン指向のソーシャルメディアの世界では嫌われるように思えるし、実際これらの技術を過剰に使っているマイクロブログ環境は、価値が小さくなる可能性が高いが、ほとんどの企業環境ではこの要件はそれ以上に重要なものだ。プライベートネットワークを超えて外部のパートナーと安全にコミュニケーションを取りたいという連合型の組織では特にそうだが、ソーシャルメッセージに対するマルチレベルのアクセスを可能にし、それらのメッセージが意図した集団にのみ届く状態を保ちたい場合には、この要件は必要不可欠のものだ。
  • 選択的複数チャネル情報発信。マルチレベルアクセスと密接に関連する問題だが、選択的な複数チャネルへの情報発信機能とは、特定のソーシャルメッセージを外部のマイクロブログ、バッジ、第三者のソーシャルネットワークなどの指定された情報チャネルに発信するものだ。例えば、あるマイクロブログの更新は社内でのみ、あるいはチーム内でのみ閲覧できるべきものかもしれず、外部も含めたすべてのチャネルで公開されるべきものかもしれない。面倒なやり方ではあるが、これは現在の技術を使って各チャネルごとにマイクロブログを作成することでも実現できる。しかし、このやり方では1つのクライアントで1回送信するだけでは済まず、チャネルごとにメッセージを送信しなくてはならないため、多くのメッセージのコピーを作ってしまう。今のところ、複数チャネルでの情報発信をサポートしているツールは少ないが、ハッシュタグやサーバ側での簡単な工夫で可能になることが多い。企業コミュニケーションの効率と完全性を考えれば、長期的に見た場合、これは将来マイクロブログの本質的な機能になるだろう。

 このリストはかなり長いものに見えるかもしれないし、概して大多数の組織に当てはまるだろうが、すべての企業は違うものであり、多くの企業ではこのリストでは足らないことがあったり、余分なことがあったりするだろう。エンタープライズITのビジネスは洗練されてきたが、Web 2.0のツールはその仕事を簡単にはしてくれていない。いささか驚くべきことだが、現在の企業向けのマイクロブログツールは、上記のような企業特有の重要な問題をうまく扱えていないというのが現状だ。それらのツールの多くが、問題の一部をサポートしているにも関わらずだ。以下ではそれぞれのツールについて詳しく説明するが、現在のマイクロブログツールは、まだかなり顧客の側でツールに合わせる必要があるものだ。

 私が2006年に書いた、従来のブログに企業の文脈を追加することに関する記事も読んでみて欲しい。

企業向けのマイクロブログツール17選

 今では、オンラインサービスから、商用ソフトウェア企業が提供するもの、オープンソースソフトウェアまで、文字通り何十ものマイクロブログツールが提供されている。私はそれらの中から特にビジネス市場を狙ったものを選び、この17件のリストを作成した。

 以下の企業向けマイクロブログツールのリストは、順不同だ。

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