約30年振りとなる法人税制の大幅な改訂については、「共和党のデイブ・キャンプ(下院歳入委員会委員長)が鍵を握っている」と昨年のコラムで書いた。
このキャンプ委員長がここにきて「なんとか今年中に(改訂を)済ませたい」と述べたと伝えられている。以前の記事で触れた通り、財務長官になることが正式に決まったジャック・ルウも「年末までには」と述べていたから、スケジュール感はほぼ固まったとみることができるかもしれない。
キャンプ委員長の素案は「全体としては増税なし」「税率は引き下げ」「控除項目などの見直し」等を骨子とするものらしいが、詳細については「まだ協力にコミットメントできるものではない」と述べているという。
また、ベイナー下院議長も今週はじめに「税制改革を最優先課題のひとつと考えている」「議会は、税率を引き下げ、雇用創造につながる税制見直しの一部として、控除項目の削減を求めるべき」などと発言。さらに、キャンプ委員長の取り組みを支持する考えも明らかにした。
ただし、民主党が過半数を握る上院と共和党が押さえる下院という「ねじれの構図」は依然として続いているため、法案を通そうにもなかなか難しいかもしれない、という指摘もある。
追記:法人税改革をめぐる議論に含まれた「ウソ」
「法人税改革をめぐる議論に含まれたウソ」と題するHuffington Postの記事に、加盟各国の「法人税負担の重さ」の比較が出ている。
おそらく「法人税収が分子、GDPが分母」という計算式だと思われるが、この比較によると「2010年には全体の平均が2.9%で、国別では米国が2.7%、日本が3.2%、イギリス3.1%、カナダ3.3%、オーストラリア4.8%、ドイツ1.5%、韓国3.5%」だった。利用したデータはOECDのものだという。
「大企業やそのお先棒を担ぐ連中は『米国の法人税(名目税率は35%)が高い』と連呼しているけれど、いろんな手を使って実効税率をかなり低く抑えているから、実際の負担はこんなもの」と言いたいようである。
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