三国大洋のスクラップブック

税金を払わないIT企業の包囲を進めるG20 - (page 4)

三国大洋

2013-03-06 16:12


 約30年振りとなる法人税制の大幅な改訂については、「共和党のデイブ・キャンプ(下院歳入委員会委員長)が鍵を握っている」と昨年のコラムで書いた。

 このキャンプ委員長がここにきて「なんとか今年中に(改訂を)済ませたい」と述べたと伝えられている。以前の記事で触れた通り、財務長官になることが正式に決まったジャック・ルウも「年末までには」と述べていたから、スケジュール感はほぼ固まったとみることができるかもしれない。

 キャンプ委員長の素案は「全体としては増税なし」「税率は引き下げ」「控除項目などの見直し」等を骨子とするものらしいが、詳細については「まだ協力にコミットメントできるものではない」と述べているという

 また、ベイナー下院議長も今週はじめに「税制改革を最優先課題のひとつと考えている」「議会は、税率を引き下げ、雇用創造につながる税制見直しの一部として、控除項目の削減を求めるべき」などと発言。さらに、キャンプ委員長の取り組みを支持する考えも明らかにした

 ただし、民主党が過半数を握る上院と共和党が押さえる下院という「ねじれの構図」は依然として続いているため、法案を通そうにもなかなか難しいかもしれない、という指摘もある

追記:法人税改革をめぐる議論に含まれた「ウソ」

 「法人税改革をめぐる議論に含まれたウソ」と題するHuffington Postの記事に、加盟各国の「法人税負担の重さ」の比較が出ている。

 おそらく「法人税収が分子、GDPが分母」という計算式だと思われるが、この比較によると「2010年には全体の平均が2.9%で、国別では米国が2.7%、日本が3.2%、イギリス3.1%、カナダ3.3%、オーストラリア4.8%、ドイツ1.5%、韓国3.5%」だった。利用したデータはOECDのものだという。

 「大企業やそのお先棒を担ぐ連中は『米国の法人税(名目税率は35%)が高い』と連呼しているけれど、いろんな手を使って実効税率をかなり低く抑えているから、実際の負担はこんなもの」と言いたいようである。

Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページTwitterRSSNewsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

マイナンバーカードの利用状況を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]