「Windows RT」の行方--「Windows 10」との関係は?

Shara Tibken (CNET News) 翻訳校正: 編集部

2015-01-22 15:27

 「Windows RT」は、携帯電話で多く用いられているARMチップを搭載したデバイス上で稼働するMicrosoftのOSであり、大きくデザインが変わった「Windows 8」とともに2012年後半に市場に投入された。Windows RTは登場後、苦戦を強いられ、ユーザーを引きつけることができなかった。その理由には、「Outlook」のような従来のWindowsプログラムが同OS上で動作しなかったせいもある。またMicrosoftは、より優れた製品を作り上げるためにWindows RTデバイスの開発プロセスを厳しく統制し、協業するチップメーカーの数を絞り込んだ。しかしそれによって、Windows RTを搭載した製品は同社の「Surface」以外にほとんど登場しないという結果になった。

 Microsoftは米国時間1月21日、報道陣向けのイベントで2時間半近くをかけて「Windows 10」に関するさらなる詳細を明らかにした。Windows 10は、Windows 8における問題の解決に向けた最新のOSだ。しかしWindows RTについては、記者たちとのQ&Aセッションで「Windows RTに対するアップデートにも取り組んでいる」と述べ、ほんの少し時間を割いただけだった。

 Microsoftはその後、声明で「『Surface Pro 3』(そして『Surface Pro』のすべてのライン)はWindows 10にアップデートする予定だ。(Windows RT搭載版の)Surfaceについてはアップデートに取り組んでおり、それによりWindows 10の機能の一部が取り込まれることになる。詳細は追って発表する」と述べた。同社はこれ以上の発言を控えた。

 MicrosoftのWindowsソフトウェアは世界中で最も多く利用されているOSだが、将来的に販売されるデバイスのほとんどはスマートフォンやタブレットになるはずであり、こういった製品分野ではWindowsと同様に、Hewlett-Packard(HP)やDellといった既存のPCベンダーの苦戦が続いている。Windowsが稼働するノートPCやデスクトップPCに搭載されているIntelやAMDのx86プロセッサは消費電力が大きいため、世界中のスマートフォンやタブレットの大半に搭載されているARMプロセッサほどにはモバイルデバイスに向いていない。これこそ、MicrosoftがWindows RTを作り出した理由だ(そして、2013年9月にフィンランドの携帯電話メーカーNokiaを72億ドルで買収する契約を締結した理由でもある)。

 Windows RTで協業していた大手のデバイスメーカーはいずれも、Windows RTを搭載した自社製品を市場に投入する前に、あるいは発売後の販売状況を見て、こうした製品から手を引いた。

 Windows RTを実際に活用しているデバイスはMicrosoft自身のSurfaceタブレットだけとなっている。同社はWindows RTを搭載した第1世代のSurfaceを2012年後半に発売したものの、2013年7月にSurface関連で9億ドルの損失を計上した。同社は2013年後半に「Surface 2」を発売したが、その後Windows RT搭載タブレットを新たに作り出してはいない。またMicrosoftはSurfaceと並行して、Intelのチップを搭載した「Surface Pro」タブレットを3世代にわたって発売するとともに、大々的に宣伝し続けている。

 Microsoftは過去1年間、Windows RTについてほとんど何も発表していないため、このOSは葬り去られるのではという憶測が流れている。しかし21日、同社からこの状況を明確にするような発言はなかった。とりあえず、Windows RTは少なくともSurfaceタブレット上では生き残るようだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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