資生堂、5000人が利用する分析基盤を刷新--オールフラッシュなどインフラも

ZDNET Japan Staff

2016-01-22 13:22

 資生堂は、2008年に構築した5000人超が利用する情報分析基盤に、店頭売り上げ向上の支援機能を追加した。情報分析基盤として国内化粧品事業で、1月から全面稼動を開始した。システム構築を支援した新日鉄住金ソリューションズが1月22日に発表した。

 2008年から情報分析基盤での店舗の販売データを分析してきたが、市場トレンドの変化や国内人口の減少に伴い、すばやく市場動向を把握し、対策を打つことが経営課題となっていた。

 情報システムに対しては、店舗の販売時点情報管理(POS)データの増大への対応に加え、オンラインショップなどのチャネルの販売データの統合、生産から店頭での売り上げまでを網羅する販売管理系システムと会員顧客の顧客管理、購買分析系システムを1つの情報分析基盤に集約することが求められている。分析機能を活用できる高性能なシステム基盤への刷新が急務になっていた。

 新システムのシステム基盤には、IBMのプロセッサ「POWER8」搭載サーバ、オールフラッシュストレージ「IBM FlashSystem」、分析ツールとして、資生堂がこれまで蓄積していた分析テンプレートを最大限活用するために「Oracle Business Intelligence」を採用した。

 今回、本番環境のストレージをすべてフラッシュストレージにすることで、I/Oのボトルネックを解消。サーバには1台あたり1テラバイトのメモリを搭載した。Oracle Real Application Clustersを基盤にリソースを最大限活用できるようにした。

 同時に、「In-Memory Parallel Query」技術の採用とチューニングにより、POWER8の高速並列処理能力を生かせる構成にした。これによりOracle Databaseへの超高速データアクセスが可能となり、従来比で約10倍高速に分析できるようになったという。

 情報分析基盤の刷新にあたり、新日鉄住金ソリューションズと日本IBMは、共同で性能検証を実施。資生堂の既存アプリケーションで実際に分析を実行した場合のシステム性能を検証し、適切なシステム基盤を設計することで、高速な分析処理を実現した。

散在する業務データを集約

 資生堂では今回のシステム基盤刷新により散在していた販売データ、顧客データ、市場データを集約し、より高度な分析を高速に実施できるようにした。また、検索にかかる応答時間を削減、マーケティング担当者は試行錯誤を繰り返してより深い分析に集中できるようになり、営業担当者は業務に直結する分析レポートを素早く入手し、改善につなげられるようになった。

 資生堂は、今後この情報分析基盤を活用して全社員が「マーケター」としてデータ分析を業務で活用し、働き方を変革することを目指している。世界規模でのブランド別、地域別の分析や、資生堂のオンラインショップ「watashi+」のデータなどもあわせて分析することで、より充実したサービスを実現するとしている。

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