Dropbox、法人ユーザーのデータの国内保管に対応へ

渡邉利和

2019-03-22 10:26

 Dropbox Japanは3月20日、顧客のファイルを日本国内で保存する「ローカル ホスティング」サービスを2019年下半期に法人顧客向け開始すると発表した。国内のAmazon Web Services(AWS)に環境を構築し、法人向け有償サービスである「Dropbox Business」を契約した顧客向けに提供する予定。なお、利用料金に関しては従来の北米データセンターに保管した場合と全く同額で、追加料金は不要にするという。

Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏
Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏

 新サービスも含めた2019年の事業戦略について説明した代表取締役社長の五十嵐光喜氏は、同社の事業の中核が創業当時の「クラウドストレージ」から、現在は「チームコラボレーション」に移っていることを強調。「Content(コンテンツ)」「Coordination(コーディネーション)」「Communication(コミュニケーション)」の“3C”を重視していくとした。

 また同氏は、「ベスト・オブ・ブリードか、スイートか」という昔からの“問題”に対して同社ではベスト・オブ・ブリードを選ぶことを明確にし、クラウドサービスや各種アプリケーションなどとの連携を重視し、Dropboxに保管されたユーザーのコンテンツ(ファイル)を中心に、さまざまなアプリケーションを連携させていくと説明した。

 連携の仕組みとして用意された「Dropbox Extensions」を活用すると、アプリケーション(処理)を選んで処理の対象となるファイルを選択するというフローではなく、まずはコンテンツ(ファイル)を選び、そこからそのコンテンツに対して行いたい処理(アプリケーション)を順次起動していくという形でのワークフローが実現できる。実際のインターフェースとしては、Dropboxプラットフォーム上にあるファイルを選択すると、そのファイルに対して適用可能なアプリケーションがメニュー表示され、選択されたアプリケーションがそのファイルを読み込んだ状態で起動する、という流れになる。Extensionsでサポートされるアプリケーションは、現時点ではまだごく少数にとどまるが、今後拡大していく予定だ。

「Dropbox Extensions」の概要
「Dropbox Extensions」の概要

 同氏は、2019年の注力分野として「国内データ保管・管理機能強化による顧客層の拡大」「国内パートナーと連携した『3C』の実践」「『DROPBOX+PAPER』によるデジタルトランスフォーメーションの推進」の3点を挙げた。なお、Dropbox Paperはチームのワークスペースとして活用可能な共有ノートブック機能となる。

 米Dropboxは、設立時にはAWSをプラットフォームとして利用していたが、その後顧客ニーズへの対応強化などを目指して自社で独自データセンターを開設/運用する方針に切り替えた経緯がある。今回の国内データ保管に関しては再びAWSの利用に戻る形だが、既に同様の対応はドイツで行われており、データの保管場所としては北米、ドイツに続く3番目の拠点となる。こうした対応の意図について五十嵐氏は、「顧客のニーズを踏まえて最適なインフラを選択する」としており、「AWSか、自社データセンターかという固定的な発想ではなく、状況に応じて柔軟に使い分けていく方針だ」と説明している。

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