エンタープライズIT分野の“2トップ”である富士通と日本IBMが、相次いで社長交代を発表した。この動きの背景には何があるのか。果たして新社長は適任か。
エンタープライズITベンダーとして“ど真ん中”の人材
「富士通は4年、日本IBMは2年と、両社とも前の社長の期間が短かったこともあり、今回の交代のタイミングは意外だった」――。両社の社長交代について、IT業界に長く携わる関係者はこう語った。確かにタイミングとしての意外感はあるが、考えてみるとこの動きの背景には、共通する部分が幾つかある。
まずは本サイトにおけるこの動きの関連記事を挙げておく。富士通については3月28日に行われた記者会見のレポートおよび翌3月29日掲載の筆者コラム「今週の明言:富士通次期社長が語る『グローバルでどう存在感を示すか』」を参照いただきたい。
また、日本IBMについては、4月17日掲載の第一報および翌4月18日掲載の筆者コラム「一言もの申す:何が起きたのか、日本IBM社長交代の舞台裏」を参照いただきたい。
さて、改めて共通する部分を挙げてみると、まずは6月24日付で富士通社長に就任する時田隆仁氏も、5月1日付で日本IBM社長に就任した山口明夫氏も、システムエンジニア(SE)出身であることだ。しかも、SEとしての主たる経験は金融分野。要するに、巨大プロジェクトを経験してきたSEということで、エンタープライズITベンダーとしては“ど真ん中”の人材が両社ともトップに就く形になったといえる。
6月24日付で富士通社長に就任する時田隆仁氏(3月28日に行われた社長交代会見で筆者撮影)
5月1日付で日本IBM社長に就任した山口明夫氏(2018年10月4日に行われた新製品発表会見で筆者撮影)
両社の新社長ともSE出身とは何を意味しているのか。そこで両社に共通する大きな課題として挙げられるのが、従来の業務システム向けビジネスだけでなく、デジタル変革ビジネスを強力に推進していくことが求められている点だ。