Gartner Summit

2020年以降、AIで生まれる雇用は失う雇用を上回る--ガートナーのテイ氏

日川佳三

2019-05-13 06:00

 ガートナー ジャパンの「ITインフラストラクチャ、オペレーション&クラウド戦略コンファレンス 2019」が4月23~25日に開催された。セッションの1つとしてシニアディレクター兼アナリストを務めるギャビン・テイ氏が登壇し、「仕事の将来 - 2035年のシナリオ:ボットが大半を占める職場をリーダーはいかに管理するか」と題して講演した。

 2035年には、人工知能(AI)を活用したボットがほとんどの職場に浸透する。この時、どういう世の中になっているのかーーテイ氏は、「AIは新たな雇用を生み出す有益な存在になる」と断言する。

 テクノロジーが仕事に及ぼす影響については、はるか昔から予想されてきた。紀元前370年にソクラテスは、「書くことによって記憶が滅びる」と言った。ケインズは1930年時点で「今後100年で週15時間働くだけでよくなる」と語った。

 AIについては、1959年にI.J.グッドが、「20年後にはAIが全ての仕事を担い、人間は働く必要がなくなる」と予測した。一方、2012年にはトーマス・フレイが「2022年までに、AIと自動化によって10億人分の仕事が失われる」と予測した。

 ガートナーは、「AIボットによって消える仕事もあるが、生まれる仕事もある」と予測する。2019年時点では、消える仕事と生まれる仕事の比率は50対50だが、2020年には、AIは新たな雇用を生み出す有益な存在になる。2020年時点で、AIによって消える仕事は180万件であるのに対し、230万件が創出されるという。

AIの活用シナリオは4象限、人がAIを受け入れるかどうかも大切

 AIが労働環境に与えるインパクトは大きい。労働力の大半を機械が占める環境に向けて、リーダーはどう準備を進めるべきなのか。テイ氏は、AIの活用シナリオは4つに分類できるとしている。「人が機械を受け入れる/人が機械を拒否する」の軸と、「機械の能力が弱い/機械の能力が強い」の軸で、AIのシナリオは大きく4象限に分かれる。

  1. 人が機械を受け入れるが、機械の能力が弱い領域の典型が、ミニボットだ。さまざまな用途に専門特化したミニボットが普及している。われわれは既にボットの支援を受けている
  2. 機械の能力が弱過ぎて、人が受け入れられない領域の典型が、自動運転などだ。まだ人間が監視をしなければならない。ここでは「ボットマスター」と呼ぶ役割の人が必要になる
  3. 機械の能力が強く、人が受け入れられない領域の典型が、攻撃者と化すボットだ。最悪のシナリオであり、これらのボットに対抗するためにセキュリティが求められる
  4. 機械の能力が強く、人が受け入れられる領域もある。これが理想だ。生産性の最適化や迅速な取引、創造性などの源になる

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