ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」

第8回:HCIの出遅れは致命的--国内IT各社は現状を恥じるべき?

取材・構成=翁長潤

2019-05-15 06:00

 本連載は、元ソニーの最高情報責任者(CIO)で現在はガートナー ジャパンのエグゼクティブ プログラム グループ バイス プレジデント エグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏が、ガートナーに在籍するアナリストとの対談を通じて日本企業のITの現状と将来への展望を解き明かしていく。

 近年、「ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)」と呼ばれるITインフラが注目を集めている。サーバーやストレージ、ネットワークと仮想化技術を単一筐体に集約し、シンプルで拡張性の高い企業システムを構築できる点が魅力だが、国内での導入率は伸び悩んでいる。その背景にあるものとは? 今回は、統合システム/HCI分野を担当する青山浩子氏にその理由を尋ね、効果的な導入方法などを語ってもらった。

「心理学とITを融合したらどうなる?」

長谷島:ガートナーのアナリストの中ではユニークな経歴をお持ちだそうですね。アナリストになったきっかけを教えてください。

青山:以前は、国立精神・神経センターで精神科診断学の研究職をしていました。白衣を着て病院の臨床現場で患者さんとの対話、各種の時系列調査などからデータを集め、それをITツールで分析し、その調査結果をまた臨床現場に生かせるようにレポートにまとめていました。現在はその対象が「人の内面の動き」から「人の外的な活動=IT市場」に変わっただけで、やっていることはあまり変わっていないと思います。ただ、今の私とお客さまとの対話はカウンセリングというよりは、コーチングに近いイメージです。

ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 ITインフラストラクチャー&セキュリティ シニア プリンシパル アナリストの青山浩子氏。ガートナー入社以前は、国立精神・神経センター社会精神保健部にて研究職、精神科臨床診断、国内ソフトウェアベンダーにてサーバー管理、データベース構築、CRM導入、システムメンテナンス担当などを経て現職
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 ITインフラストラクチャー&セキュリティ シニア プリンシパル アナリストの青山浩子氏。ガートナー入社以前は、国立精神・神経センター社会精神保健部にて研究職、精神科臨床診断、国内ソフトウェアベンダーにてサーバー管理、データベース構築、CRM導入、システムメンテナンス担当などを経て現職

 学生時代から心理学の調査などでITに接する機会がありました。当時、データ分析のためには自分でプログラミングする必要がありました。研究職時代も、バッチファイルを自分で作成して他大学の計算センターで演算処理し分析データを得る、という形でした。そこからITの全体像をより理解したいと考え、ソフトウェア開発を手掛けるベンチャー企業に入社しました。

 その後、縁あってガートナーに入社しました。きっかけは、「心理学や精神医学とITを融合したら面白いのではないか」と思い始めたからです。実は、ガートナーが発表している「マジック・クアドラント」や「ハイプ・サイクル」などは心理学の手法とそっくりです。

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