ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」

第6回:危機感が変革のトリガーとなる日本、DX推進の鍵は「ミドルアウト」にあり

取材・構成=翁長潤

2019-02-27 06:00

 本連載は、元ソニーの最高情報責任者(CIO)で現在はガートナー ジャパンのエグゼクティブ プログラム グループ バイス プレジデント エグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏が、ガートナーに在籍するアナリストとの対談を通じて日本企業のITの現状と将来への展望を解き明かしていく。

 今回は、ITインフラストラクチャやセキュリティチームのアナリストを統括する長嶋裕里香氏と、直近数年間のITトレンドを振り返りながら、特に注目されているデジタルトランスフォーメーション(DX)領域でのテクノロジの活用方法に掘り下げていく。また、2018年に開催した「Gartner Symposium/ITxpo」でのキーメッセージ「ContinuousNext」や注目のITトレンドなどを同氏に聞いた。

2018年は「要素テクノロジ」が出そろった1年

長谷島:アナリストになったきっかけを教えてください。

長嶋:ある時にプログラミングをすることになり、早々にプログラマーの素質がないことに気づきました。私は変化や新しいことが好きなので、当時の上司が新しいビジネスを立ち上げるところに抜擢してくれたことがありました。その後、一段落した際に、また新たな挑戦への機会に恵まれました。それがアナリストでした。お客さまに、「ありがとう」と言われるのが一番のモチベーションですね。

ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ マネージング バイス プレジデントの長嶋裕里香氏。入社以前は外資系ベンダーでJ2EE アプリケーション開発/アプリケーションサーバのテクニカルサポート、コンサルティング、ソリューション・サービスのプリセールス、ビジネスプランニングに従事。また、ゲームなどに用いられる3DCG制作に携わった経歴を持つ
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ マネージング バイス プレジデントの長嶋裕里香氏。入社以前は外資系ベンダーでJ2EE アプリケーション開発/アプリケーションサーバのテクニカルサポート、コンサルティング、ソリューション・サービスのプリセールス、ビジネスプランニングに従事。また、ゲームなどに用いられる3DCG制作に携わった経歴を持つ

長谷島:どのような業務を担当していますか。

長嶋:私は、特定の領域のアナリストというわけではなく、アナリストチームのマネージャーを務めています。担当チームは、ITインフラやセキュリティ、エマージングテクノロジといった分野をカバーしています。ガートナーの定義でいうところの「ハイプ」に差し掛かる領域もあれば、メインフレームやUNIXのレガシーシステムなどインフラ領域では忘れてはいけない分野を担当するアナリストのチームを統括するのが大きな役割です。

長谷島:ガートナーのアナリストの中には「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」の領域を対象とされている人もいます。ここ数年のITトレンドを振り返ると、DX領域の進化がずいぶんと明確に語られはじめ、問題点も見えてきたと思いますが、何か変化が起こっているのでしょうか。

長嶋:ここ数年は同じ傾向にあると思いますが、テクノロジの進化は激しく、特に「要素テクノロジ」が出そろってきました。2018年を振り返ると、「もっと賢い要素テクノロジを使いたい、テクノロジを理解しよう」がテーマでした。これからのチャレンジとして、「それらのテクノロジをどう使いこなすか、何に使っていくか」という段階で、多くの企業が足踏みしている状況だと思います。新しいテクノロジを使える人たちが一歩踏み出し、特に海外ではビジネスで成功している人が増えています。

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