Gartner Symposium

デジタル変革し続ける時代にCIOがすべき5つのこと--ガートナー

國谷武史 (編集部) 2018年11月12日 17時02分

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Gartner ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのDavid Willis氏
Gartner ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのDavid Willis氏

 ガートナー ジャパンは11月12日、同日から開催している年次イベント「Gartner Symposium/ITxpo 2018」で、企業のビジネスがデジタル変革し続けるようになる「ContinuousNext」という新たな概念を発表した。ContinuousNextにおいて最高情報責任者(CIO)が取り組むべきという5つのテーマを取り上げている。

 ここ数年で「デジタル変革」は一種のキーワードとして、IT分野に限らずさまざまなビジネスシーンで頻繁に使われるようになった。ガートナーが提唱した新たな概念は、これまでが「デジタル変革をいかに起こすか」が焦点だったのに対し、「デジタル変革が常に発生している状態」(米Gartner ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのDavid Willis氏)を指すという。

 ガートナーの調査では、最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)の約3分の2が、デジタル変革に直面してビジネスモデルが変わることを認識していると回答した。Willis氏は、こうした経営陣の認識も踏まえてCIOがデジタルビジネスの戦略実行と変革を主導しなければならないと指摘。そして、ContinuousNextにおいてCIOが取り組むべきとする以下の5つのテーマを示した。

  1. 組織文化
  2. プライバシー
  3. 拡張知能
  4. デジタル・プロダクト管理
  5. デジタル・ツイン

 Willis氏によれば、この中でCIOの前に立ちはだかる最大の障壁が「組織文化」だという。「人間にとって文化の変容は非常に受け入れ難いものであり、変化が従業員の大きなストレスになる。ガートナーの調査では、ストレスによって従業員の生産性が9.1%低下し、これは収益が5.7%低下することと同じインパクトになる」(同氏)

 テクノロジがビジネスを変え、その変化が人間のストレスになるというのは、皮肉な状況かもしれない。それでもWillis氏は、CIOがこの状況に対峙しつつ、テクノロジによるビジネスの変化を推し進めなければならないと語る。

 「プライバシー」では、個人データをビジネスに駆使したがる企業とその影響を懸念する個人とのバランスをどう図るが課題になっている。5月に欧州で「一般データ保護規則(GDPR)」が施行されるなど国際的な規制強化が進み、一方でテクノロジ企業の不適切な個人データの取り扱いが世界的に非難される事態が起きている。「最近の個人は利便性よりセキュリティを優先している。欧米ではSNSのプライバシー設定を積極的に変更したり、利用そのものをやめたりする傾向にある」(Willis氏)

 Willis氏の挙げた「組織文化」と「プライバシー」は、ある意味でデジタル変革によって生じた現在の課題となる。一方で「拡張知能」「デジタル・プロダクト管理」「デジタル・ツイン」は、これからのビジネスの仕組みやプロセスに変化をもたらすテーマになるという。

 「拡張知能」は、適切な学習データによって適切なモデルを実現した人工知能(AI)を人の仕事に取り入れ活用していくという次の段階で、Willis氏は「既に医療分野では、がんの診断にAIを取り入れ、医師の仕事を効率化するなどの事例がある」と話す。同氏は、AIの普及が人の雇用を奪うのではないかという懸念を否定し、「調査では、むしろ雇用が増すと見る企業が多く、AIと人の協働がより生産性を高めることにつながる」と解説する。

 「デジタル・プロダクト管理」は、デジタルテクノロジの活用で実現したモノやコトを「プロダクト」として捉え、プロダクトを顧客に提供し続ける中で収益を獲得していく姿をいう。「(概念実証などの)プロジェクト管理といった意識をプロダクトポートフォリオ管理に転換させなければならない。実際、ビジネスリーダーの75%は2020年までに、この姿に変わることを考えている」(Willis氏)

 最後の「デジタル・ツイン」は、物理的なモノをデジタルでとらえてデータなどを活用していくといった概念を意味する。Willis氏は、モノだけではなく人も取り入れ、人や組織とモノがデジタルのプロセスを通じて融合する「デジタル・ツイン・オーガニゼーション(DTO)」を実現していくべきと話す。「現時点でデジタル・ツインは、主にIoT(モノのインターネット)の文脈で語られるが、例えば、人の行動データあるいは業務プロセスにおけるデータをもとにAIなども活用し、新しい組織の仕組みが実現されていく」

 具体的には、現在は機械に取り付けたセンサから取得するデータをシミュレータなどに取り入れて解析し、機械の故障を予測して事前に対応する――といったシーンが既に実現しているが、同様に店舗内のカメラから顧客の行動を予測し、お勧め商品の購買を提案したり、スムーズな決済方法へ誘導したりするようなイメージであるようだ。

 Willis氏の見立てでは、好むと好まざるとに関わらず、今後もデジタルのテクノロジがビジネスモデルやビジネスプロセスを変化させていくだけに、CIOにとって最大の課題は「変化を嫌う」人や文化への対応になるようだ。同氏は、人が新たな学びを通じて変化に対応していくといった取り組みをスモールスタートさせ、断片的なものでもその成果を組織全体へ順次広げていけるかがポイントになるとも解説する。併せてCIOが実践すべきという以下の10種類の「カルチャー・ハック(文化を変えるアプローチ)」を紹介している。

  1. 失敗を評価する
  2. 「できない」から始めない
  3. 必要な会議に出る
  4. 48時間以内に決めるルールにする
  5. 決めたことを尊重する
  6. 「完全」ではなく「改善」に
  7. まずはやってみる
  8. “Let it go”でワークショップ(をしてみる)
  9. カルチャーハッカソンをしてみる
  10. イノベーターを「アイデアのCEO」にする

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