ジョージタウン大学ローセンターは米国時間5月16日、米国の警察が捜査に顔認識技術を利用する際、不完全なデータを使用していると指摘するレポートを発表した。顔認識検索に問題のあるデータを使用した場合、検索結果は信頼できないことが研究で示されている。
提供:Georgetown Law Center on Privacy & Technology
警察が使用しているデータには、似顔絵や編集して目や唇を付け加えた画像などが含まれているという。
これまで、人権やプライバシーを擁護する立場の人々は、米国の政府機関や法執行機関による顔認証技術の利用について警告してきた。この技術をどのように利用しうるかということについて、ほとんど制約がかけられていないためだ。しかし5月14日、カリフォルニア州サンフランシスコ市では、米国の都市で初めて警察などによる顔認証技術の利用が禁止されることになった。ほかの自治体にもこれに追随する動きが出ている。
顔認証技術には精度や偏りの問題があるとする調査結果も複数出ているほか、この技術は公共空間におけるプライバシーに対する脅威になると主張する人もいる。この日発表されたレポートでは、警察が顔認証技術を利用する際のさらなる問題が明らかになった。
レポートによれば、ニューヨーク市警察は、監視カメラに捉えられた画像がぼやけていたり、顔が十分に写っていない場合、ニューヨーク市警察では容疑者に似た有名人の写真を使って顔認識検索を行った例があるという。
例えばニューヨーク市警察は2017年4月に、容疑者に似ているとして俳優のWoody Harrelson氏の写真を使って顔認識検索を行い、容疑者の逮捕に至ったという。この男には、コンビニエンスストアでビールを盗んだ容疑が掛けられていた。
提供:Georgetown Law Center on Privacy & Technology
ニューヨーク市警察の広報担当者Denise Moroney刑事は、声明で「ニューヨーク市警察は慎重に責任を持って顔認識技術を利用している」と述べている。「われわれは犯罪現場の画像を捜査記録内の逮捕者の顔写真と比較している。ニューヨーク市警察のカメラシステムやインターネット、ソーシャルメディアなどから得られたランダムな顔画像の記録などは使用していない」
記録によれば、ニューヨーク市警察は顔認識技術を利用し始めてから5年半で、この技術を利用して2800人以上を逮捕している。