独学で開発者となったPedro Cruz氏は2018年に、 IBMの自然災害アプリ開発コンペティション 「Call for Code」に参加した。このコンペは、自然災害を防ぎ、自然災害に対応し、自然災害から回復するためのソリューションを見つけることを目指した取り組みだ。Cruz氏はハリケーン・マリアに襲われたばかりのプエルトリコに住んでいたこともあり、このチャレンジはとりわけ意義深いものだった。
ドローンを使った災害対策ソリューションDroneAidを開発したCruz氏は、次のように説明した。「ハリケーンの直後、両親、家族、祖母の行方が心配だったが、通信手段が何もなかった。被害状況が分かってくると、心配が増すばかりだった。しかしありがたいことに、私はドローンを持っていた」
同氏はなんとか家族や祖母を見つけ、安全を確認することができた。その後、ドローンを使って、援助が必要なほかの被災者を探すというアイデアを思いついた。ドローンを飛ばすと、必死に助けを求めるメッセージが地面に書かれているのを、空から見ることができた。
Cruz氏はDroneAIDプロジェクトで、水、食糧、医薬品など、被災者が表示できる視覚的なシンボルを考案し、それらを画像認識技術を使ってドローンが読み取ることができるようにした。シンボルを読み取ったドローンは、その情報を救援活動者に伝送する。最も必要とされている場所に、必要とされている救援物資を届け、応答時間を大幅に短縮できる可能性がある。Cruz氏はこのプロジェクトにより、2018年にプエルトリコで行われたCall for Codeハッカソンの受賞者となった。
IBMの担当者は、「適切なツールさえあれば、開発者は素晴らしいソリューションを開発できる。Code and Responseイニシアチブは、Call for Codeなどのコーディングチャレンジの一環となるもので、オープンソース技術を開発し、最も必要なコミュニティーに普及させることを目指している」と述べた。
IBMはその精神に乗っ取り、ドローンを無償で提供する「IBM Developer Drone Giveaway」を開始した。より多くの開発者がドローン関連のコードパターンを活用して、IBM Cloudで運用し、Call for Codeコンペティションに参加できるようにするためだ。応募締め切りは7月末。ドローンの無償提供は2019年で2年目を迎え、「DJI Tello」ドローンを1500機配布する予定である。
ドローン提供は、ドローン技術と「IBM Watson」の画像認識APIである「 Visual Recognition」の強力な組み合わせを推進することも目指している。例えば開発者は、山火事の被害地域を調査して、焼失した住宅と被害を逃れた住宅を特定したり、洪水の被災地で屋根に避難している住民や、救助ボートを特定したりするために、このシステムを使っている。
アプリ開発コンペティションに参加して、ドローンの提供を受けたい開発者は、同社ページで無料のIBM Cloudとともに、応募できる(コンペ参加者は米国、カナダ、英国、スペインの居住者に限定)。IBMは米国時間6月16日まで、毎週火曜日に抽選を行い、当選者を発表する。当選した開発者にはDJI Telloドローンのほか、ドローンプログラミング向けのコードパターンが提供される。
開発者はその後、「Node-RED」やIBM Watson Visual Recognition、「Watson IoT」、IBM Cloud、「IBM Data and Analytics」などのツールを使い、さまざまなチャレンジで斬新なドローンアプリケーションの開発を競うことになる。
より広範なCall for Codeコンペティションは、7月29日まで実施する。自然災害救援向けオープンソースアプリの開発で優勝した開発者には、賞金が提供される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。