米国時間6月17日に発表されたスーパーコンピューターの話題がニュースになっている。最大の話題は、最新のトップ500のリストに掲載されたすべてのスーパーコンピューターの処理速度が、1ペタフロップスを超えたということだ。11位にランクインしたIBM製の「Pangea III」が、この水準のものとしては初めて民間企業に導入されたこともトピックの1つだろう。また、Nvidiaがスーパーコンピューターのエネルギー効率を高めるために、同社のGPUプラットフォームでARM製CPUのアーキテクチャをサポートしたことも話題になった。しかし、リストに挙がったすべてのスーパーコンピューターには1つ共通点がある。すべてがLinuxで動いているということだ。
ランキングの1位と2位を占めたIBM製スーパーコンピューターである、米テネシー州にあるエネルギー省オークリッジ国立研究所の「Summit」と、カリフォルニア州にあるローレンスリバモア国立研究所の「Sierra」から始まり、リストの最下位に位置するXeonを使用した中国のLenovo製スーパーコンピューターまで、全システムでLinuxが使われている。
またLinuxは、ほかのどんなOSよりも多くのハードウェアアーキテクチャーに対応している。たとえばLinuxは、スーパーコンピューター用のOSとして、SummitやSierraで使われているクラスターアーキテクチャーと、3位の「神威・太湖之光」で使われているより一般的なアーキテクチャーである超並列処理の両方をサポートしている。
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の分野ではIntelがトップ500を支配しており、リストに挙がっている全システムの処理能力のうち95.6%をIntelベースのシステムが占めている。その一方で、最速のコンピュータに搭載されているのは、IBMのPOWERプロセッサだ。また、あるスーパーコンピュータでは、ARM製のプロセッサが採用された。Caviumが開発した「ThunderX2」プロセッサを13万コア分使用する、HPEが設計した米サンディア国立研究所の「Astra」だ。
そして、どのプロセッサを採用したスーパーコンピューターでもLinuxが動いている。
トップ500のうち133のシステムは、アクセラレーターかコプロセッサーを使用した構成になっている。そのうち、もっとも多く使われているのはNvidiaのGPUだが、その高速な処理環境でハードウェアを調和させているのもLinuxだ。
スーパーコンピューターのリストがLinux一色になってから、まだ1年半しか経っていない。しかし少なくとも今後10年間は、ほかのOSによってLinuxがHPCの王座を追われることは想像できない。あるいは、そんな日は永遠に来ないかも知れない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。