米エネルギー省(DOE)のスーパーコンピュータ「Summit」が最近アップグレードされ、143.5ペタFLOPSという性能に達したことで、スーパーコンピュータ世界最速ランキング「TOP500」で2位以下との差を広げた。
TOP500の2018年11月版ランキングでは、Summitの姉妹機である「Sierra」も、アップグレードにより94.6ペタFLOPSという性能を達成し、2位の座を中国の「Sunway TaihuLight」(神威・太湖之光)から奪い取っている。
オークリッジ国立研究所(ORNL)に設置されているSummitは人工知能(AI)の活用を念頭に置いて設計されており、高エネルギー物理学や、新素材の発見、ヘルスケアといったさまざまな分野での研究に利用されている。Summitはある種の科学アプリケーションにおいて、1秒あたり300京(京は1兆の1万倍)回以上の混合精度計算を実行できる能力を有している。
一方Sierraは、DOEの国家核安全保障局(NNSA)とローレンスリバモア国立研究所(LLNL)が共同で実施しているスーパーコンピュータプロジェクトだ。SummitとSierraはいずれも、IBMが構築したスーパーコンピュータであり、「POWER9」プロセッサと「NVIDIA Volta GV100」GPUを搭載している。
2年にわたってTOP500の王座に君臨していた中国は、Summitが6月時点で首位になったため、2位にランクを下げていた。今回のランキングでは、High Performance Linpack(HPL)で93.0ペタFLOPSを記録しているSunway TaihuLightは3位となった。4位は中国・広州の国立スーパーコンピュータセンターに設置されている「Tianhe-2A」(天河二号)、5位はスイス・ルガーノのスイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS)に設置されている「Piz Daint」だった。
日本からは富士通が国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)向けに構築した「人工知能処理向け大規模・省電力クラウド基盤(AI Bridging Cloud Infrastructure:ABCI)」が7位にランクインしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。