総務省は6月28日、2月20日に開始した国内の脆弱なIoT機器の調査と注意喚起などを行う「NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)」プロジェクトの実施状況を初めて発表した。
NOTICEは、IoT機器の管理機能にアクセスするためのパスワードが初期設定のままでマルウェア感染などの危険性のある脆弱なIoT機器の把握と、その機器の利用者に設定確認などの注意を行う取り組み。調査を情報通信研究機構(NICT)が行い、その結果をもとにプロジェクト参加のインターネットサービスプロバイダー(ISP)から利用者に注意喚起を行う。また「NOTICEサポートセンター」が利用者への対応支援に当たる。
同省によると調査は、対象となる国内約2億のIPアドレスのうち、必要な手続きが完了しているISP33社に関連する約9000万アドレスについて実施された。対象アドレスにポートスキャンを行い、接続可能かつ認証要求のあった機器については、法令改正で許可された「特定アクセス行為」として過去のサイバー攻撃などに用いられた100通りのIDとパスワードの組み合わせを使ってログインを試行する。
その結果、IDとパスワードが入力可能だったIPアドレスは約3万1000~約4万2000件あり、このうちログイン試行の状況から注意喚起の対象となったアドレスは延べ147件だった。また、ISPへの通知対象になったアドレスは1日平均112~155件だった。ISPから対象利用者への注意喚起は6月に開始された。
2019年6月時点の「NOTICE」の実施状況(出典:総務省)
この状況について同省は、「容易に推測されるIDやパスワードを設定していたり、既にマルウェアに感染したりしていると判明したIoT機器の数は少ない状況と考えられるが、今後も適切な設定やセキュリティ対策の徹底に努めることが重要」とコメント。「NOTICE」は今後5年間続けられる予定で、今後もIoT機器のセキュリティ対策の向上やIoT機器を悪用したマルウェアの活動状況の把握など取り組むとしている。