日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)は2月28日、IoTを導入する企業やユーザーを対象にした「IoTセキュリティチェックシート」の第2版を公開した。IT管理者と設備管理者などの連携強化や平時および緊急時における対応に関する事項を拡充している。
IoTセキュリティチェックシートは、2018年3月に初版が公開され、今回はその改訂版となる。初版はメーカーなどが参画するIoT推進コンソーシアムの「セキュリティガイドライン」をベースに利用者視点の項目を取りまとめたが、第2版では初版に対するIoT利用者側のフィードバック内容や、米国立標準技術研究所(NIST)の「サイバーセキュリティフレームワーク」の要素も加味しているという。
作成に当たったJSSEC 利用者部会 IoT調査研究タスクフォース リーダーの後藤悦夫氏(ラック)は、「IT側とOT(オペレーショナルテクノロジ:ここでは主に設備管理者などが対象)側の『共通言語』になるよう心がけ、推奨される対策内容や具体的な解説資料も新たに加え、IoTの導入や利用に伴うセキュリティ対策の網羅性を高めた」と説明する。
IoTでは、例えば、スタンドアロンで稼働する機器や設備にネットワーク接続するセンサなどを実装し、ネットワーク経由でデータを収集したり、あるいは遠隔制御したりするといったITの機能や要素が加味される。これに伴ってマルウェア感染や不正な遠隔操作といったITでは“日常的な”セキュリティリスクが懸念される。
「IoTセキュリティチェックシート」の第2版(出典:JSSEC)
「IoTセキュリティチェックシート」の第2版の概要
後藤氏は、第2版の活用イメージについて「IT管理者にとって当たり前の知識でもOT側の担当者は詳しくないケースがほとんど。IoTセキュリティは両者で取り組むべきテーマなので、双方でチェックシートを確認しながら対策に当たっていただきたい。そして、今後の改定につなげるべくフィードバックもしてほしい」と話す。
第2版の内容は、全体の約3分の2が平時に実施すべきとされる項目になる。上記のようなセキュリティリスクの顕在化を念頭に、例えば、IoTシステム資産の状況を適切に把握することや、管理の実施方針、計画、ルールなどの整備、認証やアクセス制御、暗号化などの実施といった基本的な取り組みに関する項目であり、約3分の1は、サイバー攻撃などの検知やインシデント対応、復旧といった非常時に関する事項になっている。
また、新たに付加した「解説編」は、一般企業の担当者を念頭にチェックシート項目の平易な説明や留意点などを示している。
IoTセキュリティチェックシートの第2版は、JSSECのウェブサイトからPDFやExcel形式のファイルとしてダウンロードできる。JSSECでは、セミナーや研修会などの場でIoTセキュリティチェックシートの活用を紹介しつつ、今後の改訂に向けて利用者側から意見を募りたいとしている。