人工知能(AI)への対応は、今後どうしても必要になる仕事だ。IBMのシンクタンクInstitute for Business Value(IBV)は米国時間9月6日、人工知能とインテリジェントオートメーションの進歩に伴い、世界の経済大国の上位12カ国では、今後3年間で1億2000万人の労働者を再教育する必要があるという調査結果を発表した。しかし、IBMが調査を行った企業の最高経営責任者(CEO)のうち、自社のビジネス戦略を実行するために必要なスキルやリソースがあると回答したのは半数以下だった。
IBM Talent & Transformation担当マネージングパートナーであるAmy Wright氏は、発表文の中で、「拡大するスキル不足と厳しい労働市場に対する企業の懸念は大きくなっており、これらの問題は企業の将来性や世界経済に影響を与える可能性がある」と述べている。「経営陣は問題の深刻さを理解しているものの、調査対象の半数は、大きなスキル不足の問題を解決するためのスキル開発戦略をまったく持っていないと回答した」
AIの進歩が人間の仕事に与える影響については、以前から懸念されていた。TeslaとSpaceXのCEOを務めるElon Musk氏は8月、AIは多くの仕事を「無意味」なものにしてしまう可能性があると発言した。また、2019年に発表されたあるレポートでは、2030年までに米国の労働者の4分の1がロボットに仕事を奪われる可能性が高いとしている。
IBMは、企業はこの「AIの時代」に必要なスキルの不足を埋めなくてはならないが、これは必ずしも簡単なことではないと述べている。同社が世界的に実施した調査によれば、従業員のトレーニングによってスキル不足を解消するのにかかる時間は、過去4年間で10倍以上になったという。その原因の一端は、新しく必要とされるスキルが次々に登場する一方で、古くなってしまうスキルも存在することにある。
IBMによれば、企業がこの状況に遅れずについていくための方法の1つは、AIを使って組織内にどのようなスキルがあるかを調べ、その情報を従業員と共有することによって、「常に学び続ける」文化を後押しすることだ。
同社は、この調査はIBVが実施した複数の調査から得られた知見に基づくものであり、これには世界の数千人の企業幹部を対象とした調査や、数百社の企業の業績ベンチマーキングデータが含まれていると述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。