Microsoftと保険コンサルタント会社Marshの調査によると、多くの企業幹部はサイバー攻撃をビジネス上の最大の懸念と捉えており、その度合いは不透明な経済状況やブランドの毀損(きそん)、規制をはるかに上回っているという。
MarshとMicrosoftの調査では、2017年に回答者の62%がサイバー攻撃を5大リスクに挙げていた一方、2019年にはその割合が79%にまで増えている。
提供:Marsh/Microsoft
1500人を超える企業幹部を対象にしたこの世界的な調査では、これら幹部からみた自社にとってのリスクの急速な変化が示されるとともに、サイバー保険への加入が2年前と比べてより一般的になっていることが明らかになっている。
両社が2017年に実施した調査では、回答者の62%がサイバー攻撃を5大リスクの1つとして挙げていたが、今回の調査ではその割合は79%となっている。また、サイバー攻撃を最大のリスクとした回答者の割合は、2017年の6%から22%に伸びている。
2019年の調査で2番目に多く挙げられていたリスクは不透明な経済状況であり、これにブランドの毀損、規制、主要な人材の喪失が続いている。
2019年度世界経済フォーラムの「The Global Risks Report 2019 14th Edition」(第14回グローバルリスク報告書2019年版)では、類似点という意味においては5大リスクにデータの盗難とサイバー攻撃が入っているものの、異常気象による災害や気候変動にまつわる懸念より下位となっている。
2017年以降、世界はランサムウェア「WannaCry」攻撃による被害を目の当たりにしている。米政府はWannaCryに北朝鮮が関与したとみている。WannaCryに続いて「NotPetya」マルウェアの問題も発生した。
ランサムウェアによる攻撃は続いており、その被害は後を絶たない。例えば、2019年にノルウェーのアルミ大手Norsk Hydroを襲った攻撃は約4000万ドル(約43億円)の被害をもたらした。さらにこの数カ月、米国で複数の地方自治体がランサムウェア攻撃に遭い、少なくとも1件の攻撃では身代金として530万ドル(約5億7000万円)が要求されたという。
また西側諸国の大学は最近、国家の後ろ盾を得たハッキンググループによる、知的財産窃取の目的で攻撃にさらされているとの報道もあった。