本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ヴィーム・ソフトウェアの古舘正清 執行役員社長と、ガートナー ジャパンの山野井聡マネージングバイスプレジデントの発言を紹介する。
「データバックアップソフトは大きく進化しつつある」
(ヴィーム・ソフトウェア 古舘正清 執行役員社長)
ヴィーム・ソフトウェアの古舘正清 執行役員社長
ヴィーム・ソフトウェアが先頃、事業戦略について記者説明会を開いた。古舘氏の冒頭の発言はその会見で、同社が展開するソリューションによって、バックアップソフトが大きく進化しつつあることを示したものである。
会見は、同社のプライベートイベント「VeeamON FORUM Tokyo 2019」を都内ホテルで開催したのに先立って行われ、同イベントに向けて来日した米Veeam Softwareエンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDave Russeli(デイブ・ラッセル)氏とアジア太平洋地域・日本担当シニアバイスプレジデントのShaun McLagan(ショーン・マクレガン)氏も登壇した。
Veeam Softwareは新発想のバックアップソリューションを提供するベンダーで、2019年度(2019年5月期)のグローバルの売上高は10億ドル超となり、顧客企業は35万5000社、パートナー企業は6万6000社を数える。
主力製品の「Veeam Availability Platform」は、顧客企業が「クラウドデータマネジメントの5つのステージ」を着実に達成していくための最善のバックアップソリューションというのが、訴求ポイントである。
クラウドデータマネジメントとは、従来のデータのバックアップや復元、保護などを統合し、ライフサイクル全体でデータに包括的に対応するクラウド時代のデータマネジメントのことである。
また、5つのステージとは、表に示すようにステージ1の「バックアップ」をはじめ、「クラウドモビリティ」「可視性」「オーケストレーション」「自動化」といった段階を指す。すなわち、バックアップを皮切りにクラウドデータマネジメントに取り組むのが、Veeam Softwareのソリューションの新たな発想である。
クラウドデータマネジメントの5つのステージ(出典:ヴィーム・ソフトウェアのサイト)
会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、以下に筆者が印象深かった古舘氏の発言を記しておこう。
「私はヴィーム・ソフトウェアの社長に就いておよそ2年になるが、入社前はバックアップソフトというと成熟市場で今後の成長など見込めないという印象があった。だが、調べてみるとVeeam Softwareはバックアップをクラウドデータマネジメントへと進化させて急成長を遂げている。おそらく数年後には、グローバルでも日本でもバックアップ市場でシェアトップになるだろう。今はその強烈なポテンシャルを感じながら日々まい進している」
冒頭の発言は、このコメントから抜粋したものである。IT業界で30年以上にわたってさまざまキャリアを経てきた古舘氏の経営手腕にも注目しておきたい。
左から、米Veeam Softwareエンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDave Russeli氏、アジア太平洋地域・日本担当シニアバイスプレジデントのShaun McLagan氏、古舘氏