ガートナーが先ごろ発表した「2020年の戦略的テクノロジートレンド・トップ10」の中で、「エッジ機能の拡張」と「分散型クラウド」に注目し、それらの「分散」化の先にあるコンピューティングの姿を探ってみた。
ガートナーがテクノロジートレンド・トップ10を発表
ガートナー ジャパンが先ごろ発表した2020年の戦略的テクノロジートレンド・トップ10は、出現したばかりの状態を脱したテクノロジーが大きなインパクトをもたらす状態に入り、破壊的な可能性を持つようになったトレンドや、今後5年間で重要な転換点に達するとみられる有望なトレンドから、トップ10を選んだものである。
米Gartnerディスティングイッシュト バイスプレジデントのDavid Cearley氏
同社はこの内容を、自社イベント「Gartner IT Symposium/Xpo 2019」の中で開いた発表会見で公開。会見では、同イベントでの講演に向けて来日した米Gartnerディスティングイッシュト バイスプレジデントのDavid Cearley(デイヴィッド・カーリー)氏が説明した。(写真1)
トップ10は表1の通り。それぞれの内容については関連記事をご覧いただくとして、本稿ではその中から「エッジ機能の拡張」と「分散型クラウド」に注目し、それらの「分散」化の先にあるコンピューティングの姿を探ってみたい。以下に、2つのテクノロジートレンドにおけるガートナーの説明を記しておこう。
2020年の戦略的テクノロジートレンド・トップ10
まず、エッジ機能の拡張について。エッジコンピューティングとは、情報の処理およびコンテンツの収集と配信が、情報の発生源やリポジトリー、消費者に近い場所で行われるコンピューティングトポロジーを指す。トラフィックの流れや情報の処理をローカル側に維持しようとするものであり、その狙いは、遅延の低減、エッジ機能の活用、エッジにおける自律性の向上にある。
Cearley氏は、「今後はエッジ機能がコンピューティングの中心になる」と断言した。
そして、分散型クラウドについて。分散型クラウドは、パブリッククラウドサービスをさまざまな場所に分散させ、サービスの提供者であるパブリッククラウドプロバイダーがそのオペレーション、ガバナンス、アップデート、進化に関する責任を負うというものである。これは、大半のパブリッククラウドサービスで採用されている一元化モデルからの大幅な転換を意味し、クラウドコンピューティングの新時代をもたらす。
Cearley氏は、「今後、分散型クラウドが普及すれば、エッジ機能との連携で新たにできることが広がるのではないか」とコメントした。