IDC Japanは12月2日、日本国内におけるトラディショナルPC市場出荷実績値を発表した。これによると、2019年第3四半期(7月~9月)は、法人市場が前年同期比83.4%増の361万台、家庭市場は同比38.1%増の119万台、両市場合わせて同比69.7%増の480万台となった。PC市場全体では、2019年第3四半期は2014年第1四半期(1~3月)に次ぐ記録的な出荷数だったという。
法人市場においては、2019年第3四半期の361万台は2014年第1四半期の357万台を上回り、IDCが調査を開始して以来最大の出荷数となった。2020年1月に予定されているWindows 7の延長サポートの終了に備えてWindows 10を搭載するPCへの切り替え需要が爆発的に増加したとみられる。Windows XPの延長サポート終了時(サポート終了は2014年4月)には終了前後の2四半期に出荷が集中したが、今回は需要の前倒しが進んでいるとIDCは見ている。大企業ではWindows 10への移行プロジェクトがほぼ終息の段階に入る一方で、今後の需要は中堅・中小企業を中心に盛り上がりが継続すると推測される。
家庭市場は、10月1日に実施された消費税の増税に伴う駆け込み需要を見込んで、第3四半期の出荷としては近年まれに見る活況を呈した。小売店やPCメーカーのダイレクト販売なども好調だった。増税後に関しては、前回の増税時には反動による市場の落ち込みを緩和するために小売店でのプロモーションが盛んに実施された。今回は年末年始の繁忙期と時期が近く小売店やPCメーカーの反動緩和策が見込まれること、日本マイクロソフトがWindows 7搭載PCに対して延長サポート終了の告知文を表示するといった施策が実施されることにより、家庭市場の需要は下支えされるとIDCは見ている。
2019年第3四半期のカンパニー別の出荷台数上位5社は以下の通りだ。
レノボ/NEC/富士通グループは、グループ全体での出荷台数シェアが42.4%に到達。法人市場が前年同期比68.0%増、家庭市場が同比42.8%増と好調で、ブランド別では富士通とNECが特に堅調だった。
日本HPは、出荷台数シェアは17.1%と好調を維持。法人市場の前年同期比は98.0%増、家庭市場は同比55.8%増と上位5社の中でも目立った伸びを示した。
Dellは法人市場と家庭市場を併せた市場で、トップ5の中で最も高い成長率を記録。法人市場で前年同期比119.5%増、家庭市場は同比50.7%増となった。法人市場では在庫切れが前四半期からたまっており、それらが当該四半期に出荷されたと推測される。
dynabookは復調が目立っており、法人市場では前年同期比100.3%増、家庭市場は同比51.9%増となった。Intel製CPUの供給不足問題が続く中、「大健闘した」(IDC)と分析する。
Appleのシェアは4.3%で5位を維持。Windows関連の特需とは無関係だが、法人市場で17.8%増、家庭市場が24.6%増と好調を維持した。
IDC JapanのPC, 携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーを務める市川和子氏は「2019年第3四半期は歴史的な高水準を記録する四半期となった。Windows 7の残存数を考慮すると、アップグレード対応やWindows 7として残り続けるケースがあるとしても、2020年第1四半期まではかなり順調に推移するだろう」とコメントしている。
2019年第3四半期 国内トラディショナルPC出荷台数 トップ5カンパニーシェア ※合計値の末尾が一致しないのは、端数処理(四捨五入)のため(出典:IDC Japan)