矢野経済研究所は11月27日、2019年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向についての調査結果を発表した。それによると、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを含むIT市場規模は、2018年度が前年度比2.8%増の12兆4930億円と推計。今後は、2019年度が同3.4%増の12兆9180億円、2020年度は同1.6%増の13兆1240億円、2021年度は同1.5%増の13兆3200億円と予測している。2018年度はワークスタイル変革に関する取り組みや大規模システムの更改が目立ち、Windows 10への買い替え需要も旺盛で、これらの流れは2019年度も続くとしている。
今後3年間でIT投資が増加するソフトウェアについては、「ERP(基幹業務統合管理)」が41.9%で8年ぶりにトップに立ち、「セキュリティ関連ソフトウェア」と同率1位となった。経営環境の変化に合わせて基幹システムを更新する動きが活発化し、ERPパッケージのクラウド化が進んでいること、SAPのERP保守サポート期限が2025年に迫っていることなどが背景にあるとしている。
また、製造業などで近年デジタルトランスフォーメーション(DX)に対するIT投資案件などが増加基調にあり、これまで市場をけん引してきた金融業についても、FinTechにより参画するプレイヤーが拡大基調にあるなど、IT投資は順調だと展望。2020年度から商用サービスが始まる第5世代移動通信システム(5G)関連の投資も期待できるが、その成長は緩やかになると予測している。
今後3年間でIT投資が増加するソフトウェア(出典:矢野経済研究所)