Amazon Web Services(AWS)は米国時間12月3日、ラスベガスで開催中の年次イベント「re:Invent 2019」で、Verizon Communicationsをはじめとする企業との提携を発表した。エッジコンピューティングサービスに5Gの利点をもたらし、アプリケーションでの機械学習(ML)の活用や、レイテンシーの低減を目指す。
5Gについて語るJassy氏(左)とVestberg氏(右)
AWSの最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏は、VerizonのCEOであるHans Vestberg氏とともに、コンピュートとストレージをエッジコンピューティング機器にもたらすことを目指すプラットフォーム「AWS Wavelength」の概要を説明した。このプラットフォームにより、AWSの開発者や顧客は5Gを利用したアプリケーションを実現したり、新たなユースケースを考え出せるようになる。
Jassy氏は、「5Gに関してはこれまで、誇大な売り文句や誤解が数多くあった」とはいえ、企業が活用できる利点はたくさんあると述べた。Vestberg氏は5Gが約束するものと、IoTやアナリティクス、自動運転車などに向け、個人やアプリケーション、企業向けにネットワークを切り出せるその能力について説明した。
ここでの考え方は、レイテンシーの低減により、デバイスから都市における集積ポイントやクラウドへのデータ移送に関する問題を解決できるというものだ。
AWSとVerizonの今回の提携によって、WavelengthとVerizonのエッジコンピューティングプラットフォーム「5G Edge」が統合される結果、開発者はレイテンシーが極めて低いネットワーク上でのアプリケーションのテストに着手できるようになる。ここでの計画は、5GアプリケーションをAWSのクラウドサービスにホップを最小限にして接続するというものだ。両社は、コンピュートとストレージを5Gユーザーのより近くにもたらそうとしている。
Verizonの5G EdgeでのAWS Wavelengthのパイロット運用は、シカゴで特定顧客を対象に開始されており、2020年に米国で対象地域を拡大していく計画だ。
Verizonにとって、AWSとの提携はさらなるエンタープライズの5G顧客を獲得する上でメリットがある。一方AWSは、エッジコンピューティングサービスのネットワークパートナーを得ることになる。VerizonはAWSの初期パートナーだが、Jassy氏によるとAWSはより多くの通信企業が参画できるような抽象レイヤーを持つことになるという。なお、欧州地域ではVodafoneがパートナーとなり、KDDIや韓国のSK Telecomとも提携するという。
またAWSは、「AWS Local Zones」というAWSのインフラ展開の新たな形式を発表した。AWSの特定サービスを、あらかじめ定められた地理的なエリアに近い場所にもたらすというものだ。最初のLocal Zoneはロサンゼルスで、3日から提供されている。
Jassy氏は「これは、顧客のエンドユーザーが10ミリ秒未満のレイテンシーを要求しているが、データセンターを保有したくないと考えているような場合に、地理上の特定地域でワークロードの問題を解決するソリューションだ」と述べた。
AWSによると、Local Zonesはメディアやエンターテインメント、アドテクや電子設計自動化など、レイテンシーが特に重要となる要求の厳しいアプリケーションにとりわけ適しているという。
さらにAWSは、「AWS Outposts」の一般提供開始を発表した。顧客はオンプレミスでAWSのインフラを稼働できるようになる。同氏は「整合性を有した、本当の意味でのハイブリッドエクスペリエンスに向けた」ものだと述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。