Amazon Web Services(AWS)はラスベガスで開催中の年次イベント「re:Invent 2019」の初日である米国時間12月2日、機械学習(ML)関連の製品を複数発表した。MLを活用した開発者向けの音楽キーボード「AWS DeepComposer」や、医療機関向けの文字起こしサービスでありHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)に準拠する「Amazon Transcribe Medical」、「Amazon SageMaker」内でMLモデルの訓練を可能にする開発者向けの新機能「Amazon SageMaker Operators for Kubernetes」が含まれている。
新たに発表されたDeepComposer(写真手前)。左奥は2017年発表のDeepLens、右奥は2018年発表のDeepRacer
提供:AWS
DeepComposerには32のキーが配され、2オクターブ半の音域をサポートしており、複雑なコンピューターサイエンスやコード、インフラの知識がない開発者でも、生成的アルゴリズムを体験できるようになっている。
開発者は、物理的なキーボードや、コンソール上の仮想キーボードから自身のオリジナルメロディーを入力し、あらかじめ訓練されたジャンルのモデルを選択することにより、わずか数秒でオリジナルの楽曲を手にできる。
DeepComposerは、コンシューマーや開発初心者が詳しい知識を事前に学習せずともMLプロセスに取り組めるようにすることを目指している。
Transcribe Medicalは同社の自動音声認識(ASR)サービスであり、医療用語が使われている音声の認識およびテキスト起こし機能をアプリケーションに追加したいと考えている開発者に向けたものだ。
AWSは同社ブログへの投稿で、HITECH Act(経済的及び臨床的健全性のための医療ITに関する法律)の施行により、医師が電子診療記録(EHR)システムに詳細なデータを登録することを求められている状況を説明した。それによると、1日あたり平均6時間の入力作業が発生しているとの調査結果があるという。Transcribe Medicalの最終的な目的は、医療記録を作成する速度と効率をMLによって向上させることで、医師や看護師、研究者、保険請求代理人を支援することだ。
Transcribe Medicalはフルマネージド型のASRサービスであるため、プロビジョニングや、サーバーの管理が必要ない。開発者はセキュアなWebSocket接続を使用し、同サービスが公開するAPIを呼び出し、音声ストリームを引き渡せるようになる。これだけで、Transcribe Medicalはリアルタイムでテキストのストリームを送り返してくれる。AWSによると、このサービスはMLの経験がなくとも利用でき、HIPAAにも準拠しており、事業提携契約(BAA)の対象にもなっているという。
一方、SageMaker Operators for Kubernetesは、同社のフルマネージド型MLサービスであるSageMakerと、「Kubernetes」のワークフローを統合しようとするAWS顧客を支援するためのサービスだ。同社は、SageMaker Operators for Kubernetesを用いることでKubernetesの顧客は、ベースとなるMLインフラやクラスター内のサービスを管理せずとも、オーケストレーションやパイプラインを容易に統制できるようになると述べている。
ただ、MLのワークロードに対応するうえで、顧客はベースとなるMLインフラを最適化するためにカスタマイズしたコードを開発し、高い可用性と信頼性を保証し、データサイエンス用の生産性ツールを用意したうえで、セキュリティおよび法律面での要件に対応することが必要となるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。