日本オラクルは12月5日、マイネットが運営するオンラインゲームである「刻のイシュタリア」の運営基盤に「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)が採用され、処理性能が従来比の6倍に達したことを発表した。
マイネットは、オンラインゲームの運営に特化したゲームサービス事業を主力事業とし、2019年11月現在で36のゲームタイトルを運営している。同社では、ゲームタイトルごとの特性を見極め、それぞれのタイトルが必要とする機能や性能を備えたインフラの選定を行っており、現在はユーザー数の増減やイベント開催などのピーク時に柔軟にスケールできるメリットを踏まえ、全タイトルのインフラをパブリッククラウドへ移行している。
オンラインゲームでは、ゲームプレイの安定稼働がユーザー体験の品質につながり、リソース不足によるプレイの遅延やサービスの停止はプレイヤーの離脱や収益機会の損失につながることから、インフラの安定稼働が求められる。また、ゲームタイトルの長期運営を実現するため、コストの低減も重要なポイントとなる。マイネットでは、これらの前提から、ゲームタイトルの特性に合った機能や安定稼働を支える性能とコストのバランスを、インフラ選定のポイントとして重要視しているという。
今回、OCIを基盤に採用した「刻のイシュタリア」は本格アクションバトルRPG(ロールプレイングゲーム)。最大20対20でプレイヤー同士が戦うギルドバトルと呼ばれるシステムがあり、バトル中には各ユーザーが持つデータが極めて短い間隔で書き換えられることになるため、高いI/O性能がインフラに求められていた。加えて、マイネットはは高い性能を低コストで利用できるコストパフォーマンスに優れたサービスを求めており、4社のパブリッククラウドの評価検証を行った結果、最終的にOCIを選定した。
選定に当たってはマイネットが自ら無償トライアルサービスを利用してOCIのパフォーマンスを検証し性能を確認、低コストと高い性能のバランスを評価したという。2019年7月にOCIの採用を決定し、40台分のサーバーの移行を行い、8月末から新しいインフラでの稼働を開始している。
サービスイン以降、安定稼働を維持しつつ、移管前に利用していたパブリッククラウドと比較して65%のコスト削減を実現した。また処理性能においても、従来は約1時間を要していたバッチ処理が約10分間で完了するようになり、ゲームタイトルへの変更適用に要する待ち時間が短縮され、運用業務の効率化も実現したとしている。さらに同社は、各種設定などを行うために利用するコンソールの使い勝手の良さ、そして権限および請求単位をきめ細かく制御できるOCIが備えるコンパートメント機能も評価しているという。
マイネットでは、OCIの採用によって実現した「刻のイシュタリア」のインフラコスト削減により、新たなイベントやキャンペーンなどユーザー体験向上に向けた施策をさらに強化していくという。また、同社は「刻のイシュタリア」の海外版においてOCIの採用を決定しており、その他のタイトルでも状況に応じてOCIの利用を積極的に検討したいとしている。