9月2日付で日本オラクルの新CEO(最高経営責任者)に就任したKenneth Johansen氏は、米サンフランシスコで開催された年次カンファレンス「Oracle OpenWorld(OOW) 2019」で日本のメディアのグループインタビューに応じ、OOW 2019を振り返るとともに日本法人に掛ける意気込みを語った。
日本オラクルの新CEO(最高経営責任者)に就任したKenneth Johansen氏
Johansen氏はまず、米Oracle 最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏と最高経営責任者(CEO)のSafra Catz氏の講演を通じて同社のパラダイムシフトが見えてきたと話す。その理由として、ブランディングが従来の赤色を基調としたイメージからソフトな表現に変わってきたこと、製品志向からサービス志向へとメッセージが変わりつつあることを挙げた。
実際、「Project Redwood」と呼ばれるユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンス(UI/UX)の刷新プロジェクトで、ウェブサイトやアプリケーション、イベントなどで使われるブランドの色使いが全面的に変更された。同社が大きな転換点を迎えたことを知らせる動きといえる。
Project Redwoodの概要
また、Microsoft、VMwareとの協業発表に際して、両社の幹部が登壇したことも象徴的な出来事だったと語る。「顧客のクラウド移行が進む中、そのメリットを十分に生かすには、MicrosoftとOracleのクラウドを相互に使えるようにしなければならない。Oracleを使っている顧客だけでなく、他ベンダーのシステムを使っている顧客もいるということを認識しての取り組みだ」(Johansen氏)
Oracleがこれまで、垂直統合型のソリューションを強く打ち立ててきたことを考えると、マルチクラウドを活用する水平統合型のビジネス展開はどのような広がりを見せるのか注目したい。
クラウドデータセンターに関する投資については、2020年末までに新たに20拠点を立ち上げ、現在の16拠点から倍以上の36拠点に増やす計画を発表。Ellison氏は講演で、Amazon Web Services(AWS)よりも多くのリージョンを展開することになるとアピールした。これについて、Johansen氏は「これはオラクルにとって大変大きな投資になる」とし、「LarryとSafraは、成功しないところに投資をしない」と語った。
日本では5月に東京リージョンを開設した。既に650社以上の顧客が同リージョンでシステムを稼働しているという。大阪リージョンもまもなくオープンする。システムの可用性やネットワークの遅延を考え、複数のリージョンを組み合わせての運用を求める顧客のニーズに応えるものとなる。日本オラクルのCEOに就任したのは「とてもいいタイミングだった」とJohansen氏は話す。
「Oracleは、IaaSに関して言えば、AWSに対して十分に競争力を持っている。競合と十分に戦える環境を整え、顧客のニーズに応えられると考えている。ITアーキテクチャーをOracleのクラウドに移行すれば、そのベネフィットをフルに活用できると思っている」
(取材協力:日本オラクル)