アクセンチュアは12月11日、基幹業務のデジタル変革(DX)を支援するクラウドベースのシステム構築基盤「アクセンチュア クラウドネイティブ ソリューション」(通称:MAINRI)の提供を開始した。MAINRIを活用することで、最新のテクノロジーやDXに求められる要件を取り込んだ次世代型の基幹業務システムを、パブリッククラウド環境上に構築できる。ファーストユーザーとして、ふくおかフィナンシャルグループ傘下で2021年に開業予定のみんなの銀行が、勘定系システムとして導入を決定している。
MAINRIは、「DXを支えるこれからの基幹業務システムはどうあるべきかを考え、ゼロベースで構築した」(アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏)という次世代基幹業務システム構築用のベースフレームワークとなる。現在は銀行向けに開発されているが、「あらゆる業界のDXに向けて最適化された基幹系業務システムを構築・運用するためのソリューション」(同氏)としている。
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏
MAINRIのシステムはマイクロサービスアーキテクチャーで構築されており、顧客を中心とした設計思想で、独立した顧客情報のマイクロサービスの横に基幹系業務のマイクロサービスを並べてシステムを構築していく形となる。全てのサービスはAPIで外部連携が可能になる。
MAINRIにおけるマイクロサービスアーキテクチャー活用の仕組み
基幹システムに必須であるミッションクリティカル性を担保するため、負荷集中に耐えられるオートスケールアーキテクチャーを採用するとともに、セキュリティを考慮したDevOpsの仕組みを組み込み、ワンタッチで安全に最新バージョンのシステムを稼働できるようにしている。
また、次世代基幹システムはグローバル化を視野に24時間体制で稼働することを想定しており、大量のデータを一括で処理するバッチ処理の影響でオンライン処理を止めないようにするため、バッチ処理を分散して負荷に応じてオートスケールするリアルタイム分散バッチ処理アーキテクチャーを採用している。その他に、全顧客行動データを集めるデータウェアハウス(DWH)によって全ての顧客データを瞬時に集めてリアルタイム分析し、即時アクションを実現する仕組みも実装している。
MAINRIは「GoogleやAmazon、Netflixのようなクラウド技術のメリットを基幹系に活用するという方向性で開発している」(アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 ITソリューション マネジング・ディレクターの水上廣敏氏)という方針のもとで、現在はパブリッククラウド「Google Cloud Platform」(GCP)環境においてGoogleのクラウド技術を使って開発している。今後は、他のクラウド基盤にも展開する予定としている。
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 ITソリューション マネジング・ディレクターの水上廣敏氏
アクセンチュアはMAINRIを核にして、社内外システムの柔軟な連携を可能にする「アクセンチュア コネクテッド テクノロジー ソリューション(ACTS)」や、人工知能(AI)エンジンの最適な組み合わせを可能とする「AI HUBプラットフォーム」、ブロックチェーンエンジンを複数接続する「BlockChain-HUB」など、同社が提供するデジタルソリューション群を組み合わせ、マルチクラウド対応で次世代基幹システムを提案していく。
金融機関系システムの例