ウェブサーバーのNGINX、モスクワオフィスをロシア警察が強制捜査との報道

Catalin Cimpanu (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2019-12-16 10:59

 ロシアの警察は現地時間12月12日、F5 Networksの子会社であり、インターネット上で最も普及しているウェブサーバーテクノジーを手がけるNGINXのモスクワオフィスを強制捜査したようだ。

NGINX
提供:NGINX, ZDNet

 機器が押収されるとともに、一部の従業員が事情聴取のために身柄を拘束されたという。

 モスクワ警察は、Rambler Groupが2週間ほど前に著作権侵害でNGINXを訴えたことを受け、今回の強制捜査に踏み切った。RamblerはNGINXの開発したウェブサーバー「nginx」のコードに対する所有権がすべて自社にあると主張している。Ramblerはロシア最大級の検索エンジンおよびインターネットポータルを運用しているrambler.ruの親会社だ。

 12日にTwitterに投稿された捜査令状のコピーによると、RamblerはIgor Sysoev氏が同社でシステム管理者として勤務している時にnginxを開発したため、同プロジェクトの正当な所有者であると主張している。

 Sysoev氏は2000年代初頭にnginxを生み出し、2004年にnginxのコードをオープンソース化した。

 Sysoev氏は、nginxの配備に関連するツールの提供やサービスのサポートを目的とする企業であるNGINX, Inc.を米国で立ち上げた。同社はカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置いているが、モスクワを含む世界各地にオフィスを構えている。同プロジェクトの主要なコントリビューターの大半はNGINXの従業員であり、同プロジェクトは主にこうした従業員によって主導されているが、今のところnginxサーバーのソースコードはフリーであり、オープンソースモデルを通じて管理されている。

 Sysoev氏は、Ramblerで勤務していた際にNGINXを開発した点については否定していない。同氏は2012年のインタビューで、自らの余暇でNGINXを開発したと主張しており、Ramblerは何年もそのことに気付いていなかったという。同氏は、nginxサーバーを最初に配備したのはRate.eeとzvuki.ruというウェブサイトであり、Ramblerが使い始めたのはある同僚がそのことについて尋ねた後だったと述べた。

 2019年初頭に、nginxはついにApacheを抜いてインターネットで最も広く導入されているウェブサーバーとなった。Netcraftの2019年12月のウェブサーバー調査によると、nginxの市場シェアは約38%となっている。

 2019年3月には、F5 NetworksがNGINXを6億7000万ドル(約740億円)で買収すると発表した。

 強制捜査のニュースは、NGINXの従業員とみられる人物がTwitterに捜査令状のスクリーンショットを投稿したことで拡散された。この人物はその後、ロシア警察の要請でツイートを削除している。他の従業員らが強制捜査について認めている。

NGINX raid

 同じ従業員とみられる人物は、この強制捜査で従業員2名が拘束されたと述べた。nginxの開発者、NGINX Inc.の創業者で現CTOのIgor Sysoev氏と共同創業者のMaxim Konovalov氏だ。

NGINX raid
提供:ZDNet

 F5 Networksの広報担当者は強制捜査について認めたが、米ZDNetに対し、現在も事実について情報を収集しており、現時点でこれ以上コメントできることはないと話した。

 Rambler Groupの担当者は英語の知識が乏しいとしてコメントできなかった。しかし、現地の報道機関KommersantThe Bellに対する声明で、NGINXを著作権侵害で12月4日に訴えたと認めた。

 Ramblerは、NGINXの著作権侵害の申し立てをするために、「権利の所有にかかる問題における正義を回復するうえで必要な能力を有している」キプロスを拠点とするLynwood Investments CYに法的権利を譲渡したと述べた。

 野党指導者Alexei Navalnyの主席スタッフであるLeonid Volkov氏は、今回の強制捜査と法的根拠を批判し、著作権侵害における15年という出訴期間を過ぎていると主張している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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