日本ヒューレット・パッカード(HPE)は12月12日、2020年度の事業戦略説明会を開催した。社長執行役員のJustin Hotard氏が登壇し、「エッジからクラウドまでのプラットフォームをアズ・ア・サービスとして提供」すると強調した。
アズ・ア・サービス戦略の中心となるのが「HPE GreenLake」になる。これは、顧客のオンプレミス環境で従量課金型のITインフラサービスを提供するもので、IT製品の調達から設計、構築、運用、保守までをサービスとして体系化している。ワールドワイドの業績では、2019会計年度に前年比39%の成長を遂げ、契約総額は30億ドル超に達したと、Hotard氏は説明する。
直近の動きでは、ハイブリッドクラウド環境を運用・管理・最適化するためのポータルと管理コンソールを提供する「HPE GreenLake Central」を発表。ハイブリッド環境を統合管理できる制御プレーンと単一の運用コンソールで構成され、パブリッククラウドやプライベートクラウド、データセンター、エッジを含むITリソース群を一元管理することができる。
Hotard氏が続いて挙げたのは、Kubernetesベースのコンテナー基盤「HPE Container Platform」になる。これは、オープンソースソフトウェア(OSS)のコンテナー管理ツール「Kubernetes」と、買収したBlueData Software、MapR Technologiesの技術を組み合わせたもの。Kubernetesのコンテナーオーケストレーションツールを中核に、コンテナー管理の制御プレーンにBlueDataのソフトウェア、コンテナーの永続データ用にMapRの分散ファイルシステムを活用している。
これにより、マイクロサービス化されたクラウドネイティブなアプリケーションだけでなく、モノリシックなアプリケーションに対しても永続データストレージでコンテナー化する機能を提供するとしている。
また、インテリジェントエッジコンピューティングに対するコミットメントも改めて示し、「Aruba CX Switching」などへの製品ポートフォリオをはじめとして、4年間で40億ドル(約4400億円)を投資する計画を発表している点を強調した。
HPEでは現在、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みを進めている。これは、資源を最大限に活用し、廃棄を最小限に抑える経済モデルで、解体・修理・再利用といった循環性を考慮した製品設計や、ITインフラの最適化や電力消費の削減といった製品利用などを通じて地球環境に配慮し、「IT業界をクリーン産業だと見てもらえるように変える」(Hotard氏)きっかけとしたいという。
日本法人では人材への投資を進めており、男女を問わず26週間の育児休暇を取得できる「有給育児休職制度」や、毎月第2金曜日の14時30分以降を健康増進のために使える人事制度「Wellness Friday」を制定。働きやすい職場の構築にも力を入れているとアピールした。
HPE 社長執行役員のJustin Hotard氏