量子コンピューティングの実用化を模索する競争が始まっている。こうした状況のなかIBMは米国時間1月8日、量子コンピューティングの発展を目指すコミュニティーである「IBM Q Network」にDelta AirlinesやGoldman Sachs、ロスアラモス国立研究所などが新たに加わったと発表した。
同社によると、Q Networkにはさまざまな業界の組織が参加しており、その数は100を超えているという。Delta Airlinesは最近新たに名を連ねた。
Delta Airlinesはノースカロライナ州立大学に置かれた「IBM Q Hub」に参加し、旅行や運輸、顧客関連の課題に取り組む計画だ。同社の最高経営責任者(CEO)Ed Bastian氏は、ネバダ州ラスベガスで7日から開催されている「CES 2020」の基調講演で、こうしたテクノロジーによって旅行中のストレスを軽減する方法を模索すると述べた。
Q Networkの参加組織は、IBMの専門家や開発ツールにアクセスでき、「IBM Cloud」を通じてIBMの量子システムで多くの実行実績がある。
IBMは、量子コンピューターの性能を表現する指標である「量子ボリューム」を2016年以来、毎年倍にしてきており、現在では32という値を実現していると述べた。
量子コンピューティングにおける今日までの取り組みの多くはどちらかというと科学的な実験という色合いが強いため、実用化を模索することが重要となっている。それでも企業は量子コンピューティングによるブレークスルーに目を向けている。
量子コンピューティングは注目度の高い研究分野となっている。IBMは2019年のCESで商用システムを披露し、9月にはコンピューティングセンターの設置を発表した。また、Googleは量子超越性を実証したと主張し、黎明期にあるこの業界とIBMを巻き込んだ論争を引き起こした。さらにAmazon Web Services(AWS)も量子コンピューティングの取り組みを発表した。量子コンピューティングに必要となる要件を考えた場合、その利用のほとんどはクラウド経由になるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。