Google Cloudは米国時間1月13日、製品ディスカバリーの向上からサプライチェーンの最適化、ハイブリッドアプリケーション管理に至るまでのさまざまな業務分野すべてで小売業者を支援する新たなツール群をロールアウトすると発表した。これらの新ツールは、ニューヨーク市で開催中の全米小売業協会(NRF)の年次カンファレンスの初日に披露された。このカンファレンスではこの他にもさまざまな小売業者らがAmazonを食い止めるようなデジタル戦略を発表している。
Google Cloudの最高経営責任者(CEO)Thomas Kurian氏はカンファレンスのスピーカーとして出席している。クラウド分野におけるGoogleのライバルであるAmazonに立ち向かおうとしている小売業者らに直接語りかけた。
Kurian氏はブログ記事の中で、Google Cloudと協力している多くの大手小売業者を引き合いに出し、「最も迅速に変革を進める小売業者は最も大きな成功を収めている。イノベーションや自己変革を続けるKohl'sやLowe'sといった大手小売業者や、優れた顧客エクスペリエンスをもたらすまったく新たな方法を考え出したZulilyやStitch Fixといったデジタル企業はその実例だ」と述べた。
Kurian氏が2019年にGoogle Cloudの責任者に就任して以来、Google Cloudは各業界に向けたセールスのアプローチを採ってきており、ヘルスケアや金融サービス、メディア、運輸といった業界ごとに「Google Cloud Platform」(GCP)の機能に調整を加えている。小売業界がAmazonに対して反感を抱いている状況を考え合わせると、同社と競合するGoogle Cloudが小売業界に注力するのは自然なことだ。
小売業者向けの新機能のなかには、「Google Cloud Search for Retail」という名称のツールがある。このツールは現在パイロットテスト段階にあり、2020年中に広範に展開していく予定だという。このツールを用いることで小売業者は、クラウド上の人工知能(AI)テクノロジーと、「Google検索」のアルゴリズムを活用し、自らのウェブサイトやモバイルアプリにおける検索結果の向上に役立てられるようになる。
またKurian氏はブログ記事で、小売業者は「Google Ads」を購入することで自社製品のリーチを広げ、顧客がGoogleの検索、「YouTube」「Googleショッピング」「Googleアシスタント」「Googleマップ」などのさまざまなコンシューマーツールを利用した際の露出度を高めることができると説明している。
また同社は、「Google Cloud 1:1 Engagement for Retail」も発表した。これはパーソナライズされた顧客サービスを生み出すための、データ駆動型の戦略策定に役立つ小売業者向けのベストプラクティスをまとめたものだ。これにより、顧客は容易に「BigQuery」のデータアナリティクスプラットフォームを利用し、パーソナライゼーションとレコメンデーションモデルを構築できるようになるだろう。
同社はさらに、新しい「Buy Optimization and Demand Forecasting」サービスを披露した。小売業者による在庫の計画やサプライチェーンの管理を支援する。大手食料品チェーンのCarrefourはこのサービスを利用し、特定の商品を特定の店舗に提供できるようカスタマイズされたサプライチェーンを実現しようとしている。
さらに同社は、「Google Cloud Anthos」の小売業者向けバージョン「Google Cloud Anthos for Retail」のパイロット版をテストしている。Anthosはオンプレミスや任意のクラウド環境におけるサービスを管理するためのプラットフォームだ。Google Cloud Anthos for Retailは、小売業者が複数の店舗でアプリケーションを一貫性のある形でデプロイ、設定、管理できるよう支援する。2020年中に広範に展開されるという。
そして同社は、小売業者向けに、より踏み込んだ支援を提供しようとしている。同社は2020年に、「Retail Acceleration Program」(RAP)をより幅広い顧客層に向けて拡充しようとしている。RAPは、顧客による自社ウェブサイトの最適化や、顧客データに関する統合ビューの実現、物理店舗への集客に向けて支援するサービスだ。さらに同社は、ホリデーシーズンなどの繁忙期における配送計画で小売業者を支援するホワイトグローブサービスである「Customer Reliability Engineering」の適用範囲を広げると発表した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。