Googleは米国時間4月10日、オンプレミスまたはクラウド(Google Cloud Platform(GCP)、Amazon Web Services、Microsoft Azure)にあるアプリケーションを管理できる「Anthos」を発表した。Googleは2018年、GCPまたはオンプレミスでサービスを構築・管理できるプラットフォーム「Cloud Services Platform」を発表しており、Anthosはこれを土台としたソフトウェア定義プラットフォームとなる。
Anthosは現在、オンプレミス環境とGCPをサポートする。Googleのテクニカルインフラ担当シニアバイスプレジデントのUrs Holzle氏は記者向けの席で、将来的に「どこでも」動くと語っている。「これにより、一貫性がある1つのオープンソースベースのアプローチを全ての環境で使うことができる」とHolzle氏。「これから20年先も使えるスタックだ」と続けている。
Anthosを他のクラウド向けにオープンにするという動きは、マルチクラウド戦略のトレンドに沿うものとなる。企業の中ではハイブリッドモデルを維持する一方で、クラウドファースト戦略をとる動きが強まっている。同時に性能とベンダーロックインへの懸念があることから、複数のクラウド環境を検討するという流れにつながっている。コンテナはマルチクラウドの受け入れに当たって重要な要素だが、コストが割高になるというケースもある。
Google Cloudを率いるThomas Kurian氏
提供:ZDNet.com
Google Cloudを率いるThomas Kurian氏にとって、マルチクラウドは自社の存在感を示し、営業のリーチを拡大し、業界固有のユースケースをターゲットにするという取り組みの一部となる。
Holzle氏は、「顧客から、マルチクラウドとハイブリッドは重大な問題だという声を聞いている」とし、しっかりした戦略を持たずに複数のクラウドを使うことは「運用コストと運用上の複雑性が増し、開発者の分断化を今以上に進行させることにつながる」と述べている。
AnthosはオープンなAPIを活用する。GoogleのマネージドKubernetesサービスであるGKEをベースとし、自動的にフィーチャーアップデートとセキュリティパッチを提供する。アプリケーションの処理とストレージは全て顧客の選択した環境に置くことができる。Googleは単なる制御プレーンにすぎない、とHolzle氏は説明する。
Googleは、オンプレミスや他のクラウドにある仮想マシンを自動でGKEのコンテナにマイグレートする「Anthos Migrate」もベータ公開している。これを利用して、仮想マシンやアプリケーションに事前に修正することなく、インフラストラクチャを移行し、モダナイズすることができるという。
Holzle氏はAnthosについて、顧客に「アプリケーションを一度作成して設定すればオンプレミスでもクラウドでもどこでも繰り返し使用できるようにするという約束に一歩近づいた」と語った。
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GoogleはAnthosの取り組みで30社を超えるハードウェア、ソフトウェア、システムインテグレーションのパートナーと連携している。
IDCのシニアバイスプレジデントでチーフアナリストでもあるFrank Gens氏はAnthosについて次のように述べる。「プライベートと(複数の)パブリックが相互に接続され、一貫した方法で管理されるこの新しいクラウドの世界を顧客が構築し始めることができるようにテクノロジがパッケージ化された。これは大きな前進だ」
同時にグーグルの競合も、クラウドは顧客が望む至るところに存在していなければならないことを理解している、と同氏は指摘した。過去24か月以内に、Google、Microsoft、IBM、AWSなどのパブリッククラウドを提供するすべての大手が、パブリッククラウド機能をオンプレミスやエッジロケーションにもたらすテクノロジと製品を披露してきた。
「クラウドの世界では今後5年間で、この『Cloud Everywhere』というビジョンのリーダーシップをめぐる新しい戦いが見られるだろう」(Gens氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。