リサーチ企業のGartnerは米国時間1月15日、世界IT支出に関する最新の予測を発表した。同社によると2020年の世界IT支出は、2019年の約3兆8000億ドル(約417兆8000億円)から約3兆9000億ドル(約428兆8000億円)へと増加する見込みだという。成長の主な要因として、エンタープライズ向けクラウドソフトウェアの購入があげられる。また、「Windows 7」の1月14日のサポート終了がPC市場の復調につながっているようだ。
2020年の成長のけん引役は、前年比10.5%の成長が見込まれているエンタープライズソフトウェアだ。
エンタープライズはこぞってSaaSを導入しており、SaaSが主な成長要因とされている。
Gartnerによると2020年のエンタープライズ市場では、データセンターシステムやITサービス、通信サービス、デバイスの購入といった支出に比べると、エンタープライズソフトウェアへの投資が著しく伸びるという。
またGartnerは、クラウドベースの製品に対する企業の投資が非クラウド製品への投資に比べて大きく伸びると予測しており、「特にクラウドの導入に向けたIT支出の多い企業は、次世代のディスラプティブなビジネスモデルを生み出す可能性が高いと考えられる」と述べている。
さらにGartnerはデバイス市場について、2019年第4四半期に販売が減少したとはいえ、2020年に再び成長に転じると述べている。これは、新興国において安価なスマートフォンの販売がおよそ100億ドル(約1兆1000億円)増加することによるという。
しかし、アジア太平洋諸国を含むこれらの国々では、米ドル高がIT支出に対する逆風となっている。強いドルは、現地における高価格帯のスマートフォンや、データセンター機器の価格上昇、ひいては販売減の原因になると考えられている。
Gartnerのリサーチ担当バイスプレジデントであるJohn-David Lovelock氏は「政治的な不確実性によって世界経済が不況に近づいたとはいえ、不況は2019年には訪れず、2020年以降も最も可能性が高いシナリオとはなっていない」と述べ、「世界的な不確実性を警戒しつつ、企業は売上高の成長を見越して投資を倍加させ続けているが、その支出パターンは変化し続けている」と続けている。
またGartnerは、2021年に世界IT支出が4兆ドル(約439兆8000億円)を突破すると見込んでいる。
なお13日にはIDCとGartnerがそれぞれ、2019年のPC市場について発表している。長年にわたる市場の低迷に終止符が打たれ、PCの販売が増加に転じているという。2019年第4四半期の世界のPC出荷台数について、Gartnerが前年同期比2.3%増の7060万台としている一方、IDCは4.8%増の7180万台としている。
両社ともに、Windows 7のサポート終了を見込んだ「Windows 10」へのアップグレード需要が主な成長要因だとしている。
長きにわたって人気を維持したWindows 7のサポートは2020年1月14日をもって終了している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。