Gartnerによれば、2024年までにマネージャーの定型的な業務の69%は自動化される見通しだ。
Gartnerは、手作業の業務、フォームへの入力、情報の更新、ワークフローの承認など、マネージャーの仕事の大部分がなくなるとみている。筆者はPwCのDemo Dayで、このコンセプトが実際に行われている様子を見る機会があった。PwCは、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)アプリが請求書の処理や明細書のスキャンなどをわずか数秒で行う様子を紹介した。人間ならば数時間かかるため、こうした自動化によって、会計監査をスピードアップできるのは間違いない。
社員の多くは、マネージャー業務の自動化を朗報だと受け止めるかもしれない。OracleとFuture Workplaceの共同調査では、ロボットをマネージャーよりも信頼するという回答は64%に達していた。その理由は、自身の業績について、社内政治に左右されない、公平なアドバイスや評価をもらえるからだと考えられる。
争点となるのは、マネージャーのルーティンワークが自動化された場合、マネージャーがより効率的に仕事を行うようになるか、あるいは単に不要になるかである。Gartnerは調査報告書で、マネージャーは学習、業績管理、目標設定により多くの時間を費やせるようになるとしている。
ところが、そうは簡単にいかないだろう。人生で1〜2人の優れた指導者に出会うことができれば幸運だが、上司も同じことが言える。社会人として当たりくじを引いたとしても、よい上司に恵まれる可能性はほんの一握りかもしれない。つまり、反復的な業務から解放されたマネージャーの多くは、コーチとしての能力に欠ければ失敗する可能性もある。Gartnerは、マネージャーの業務をテクノロジーが取って代わることで、組織のコストを削減することにもつながる可能性があるとしていた。
こうしたことすべてを加味すると、マネージャーの業務自動化によって、職場の状況は大きく変化するかもしれない。一考に値することとして、次のようなものが挙げられる。
- マネージャーの数は減るだろう。これは経営手腕を進化させたり、プロジェクトおよびチーム管理能力を伸ばすことができず、また直属部下の育成が自動化されることで、淘汰されるためだ。またボットがマネージャーに代わって、直属部下に介入し始める。
- その一方で、人材不足はAIが軽減するかもしれない。
- しかし最終的には、マネージャーの減少が組織内で1つの経営層を排除することになり、社内における昇進の機会が奪われる。
- Gartnerは、「2025年には、AIが職場におけるタスクベースの学習機会の67%を排除するため、学習および能力開発向け予算の47%が無駄になる」と述べている。
- マネージャー業務の自動化による混乱が収まった後、職場は役職よりも、スキルや能力を評価するように変わる必要がある。こうした変化により、必要なスキルや目的によってチームを編成する組織が成長する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。