アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)は2018年2月に開設した大阪ローカルリージョンを2021年初頭に大阪リージョンへ格上げする。2020年1月20日に発表した。大阪リージョンは3つのアベイラビリティゾーン(AZ)で構成され、アジア太平洋地域で9番目のリージョンとなる。
2013年冬から銀行周辺系システムでAmazon Web Services(AWS)の利用を開始したソニー銀行は、国内第2リージョン(大阪リージョン)の開設を強く要望しており、同社は2019年12月からAWSの利用範囲を全業務とする方針を決定した。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏
現在グローバルで22リージョン+1ローカルリージョンにわたり、69のAZで運用するAWSだが、大阪リージョン開設についてAWSJの代表取締役社長 長崎忠雄氏は「われわれが考えていた以上に(大阪リージョンの)利用を希望する(顧客の)声が多かった」と語る。大阪ローカルリージョンは1つのAZで運用しているため、“ローカル”の名称を用いていたが、「AZを3つに拡大」(長崎氏)することで他のリージョンと同等の規模に拡大した。
同社は大阪リージョンがもたらすメリットとして、高可用性や耐障害性、東京と大阪の両リージョンの併用による災害復旧、事業継続計画の担保。関西以西のユーザーは遅延を減らせるとともに、ローカルリージョン段階では提供されないサービスの享受が可能になると説明した。すでに大阪リージョンはソニー銀行のほかにJCBやコニカミノルタ、三井住友信託銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ、関西電力といった企業が積極活用を表明している。
大阪リージョン開設はユーザー企業の強い要望が背景にあった。1月20日に開かれた記者会見に登壇したソニー銀行は、2017年冬から社内と銀行周辺系システムでAWSの利用を開始し、2017年冬には勘定系の一部となる財務会計システムでの採用を決定。いずれも2019年秋には本番稼働に至っている。
ソニー銀行 執行役員(システム企画部、システム開発部、システム管理部担当)福嶋達也氏
その効果についてソニー銀行執行役員 福嶋達也氏は、「オンプレミスからAWSに移行したところ、インフラコストは最大60%の削減に成功し、導入・構築期間は半減している」と評価した。2013年からクラウド移行の事前影響評価を開始した同社は、当時から「勘定系でも使えるとの認識はあったが、可用性を担保するため、(東京リージョンに続く)第2リージョンの必要性を感じていた。2014年夏以降はFISC(金融情報システムセンター)安全対策基準などをAWSJに説明し、(第2リージョン開設の)強く要望を伝えた。その結果、米国本社も加わり具体的な検討をはじめた」(福嶋氏)と説明する。