クラウドも含めたネットワークを可視化できる「Internet Insights」の可能性

阿久津良和

2019-12-24 06:45

 サウザンドアイズ・ジャパンは12月20日、インターネットを企業のバックボーン、クラウドを自社データセンターとして監視するサービス「Internet Insights」を発表した。米本社ThousandEyesソリューションズエンジニアリング担当バイスプレジデントJohn Clark氏は「(顧客や従業員の)デジタル体験はIT部門に手の届かないプロバイダーやネットワークに依存している」とIT環境の変化を指摘し、企業が直面するさまざまなリスクをInternet Insightsで即時対応可能だと説明する。

 ThousandEyesの調査によれば、コスト削減などを目的にMPLS(Multiprotocol Label Switching)からSD-WAN(Software-Defined Wide-Area Network)に移行した企業は、ルーティング関連エラー数が年1万4000回以上も発生し、年間の分散型サービス妨害(DDoS)攻撃も累計1700万回を数える。インターネットサービスプロバイダー(ISP)を起因とするハイブリッドIT環境の障害率は31%にも及び、障害検知や障害切り分け、解決・復旧までに要する時間は長い。

ThousandEyes ソリューションエンジニアリング担当バイスプレジデント John Clark氏
ThousandEyes ソリューションエンジニアリング担当バイスプレジデント John Clark氏
ThousandEyes プロダクトマーケティングマネージャー Angelique Medina氏
ThousandEyes プロダクトマーケティングマネージャー Angelique Medina氏

 Ciscoの調査によれば、障害発生から復旧までに要する時間は平均7時間。Gartnerの調査によると障害発生時の損失は1時間あたり30万ドル(約3300万円)。先の数字を掛け合わせれば、210万ドル(約2兆3100万円)を損害を被ることになる。

 当然ながら、機会損失による売り上げ減やブランドイメージの低下、事業継続性の欠落などを踏まえると、その額はさらに膨らむだろう。このような背景からThousandEyesはInternet Insightsを開発したと説明する。

 Internet Insightsでは、ThousandEyesが顧客から長年収集したネットワークデータをもとにISPやコンテンツ配信網(CDN)事業者、DNS事業者、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といったパブリッククラウドなどの障害情報を可視化することで、「影響を受けているインターフェースから障害の度合いを把握できる」(ThousandEyesプロダクトマーケティングマネージャー Angelique Medina氏)

 収集するデータは企業の内部情報に関わるようなものを含んでいないという。Internet Insightsは「オーバービュー」「タイムラインビュー」「トポロジビュー」と3つの表示形式にフィルタリングやアラート機能を搭載。オーバービューは「ネットワーク障害のGoogle Mapのようなもの」(Medina氏)で、各事業者で発生した障害やサービス停止状況を地図上に表示。IPアドレスから影響を受けるSaaSベンダーやISPを利用する企業などはトポロジビューで表示する仕組みだ。

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