情報処理学会は2月28日、2019年度の「情報処理技術遺産」と「分散コンピュータ博物館」の計6件の認定を発表した。遺産認定は、国民生活や経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピューター技術や製品など、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ情報処理技術遺産の保存と活用を図ることを目的にしている。新たな認定遺産は次の通り。
情報処理技術遺産
「NECスーパーコンピュータSX-2 パッケージ」
- 製造者:NEC
- 製造年:1985年
- 直接液体冷却方式のLSI高密度パッケージなどの技術を用いてマシンサイクル6ナノ秒を達成し、当時世界最速の1.3GFLOPSを実現
「FACOM VPシリーズEモデル」のMCCボード
- 製造者:富士通
- 製造年:1987年
- 初めて1GFLOPSを超える性能を達成したVPシリーズの心臓部。400、1300ゲートのLSIを121個搭載したMCCボード
「HITAC S-820」
- 製造者:日立製作所
- 製造年:1987年
- 複数のベクトル要素を並列処理する要素並列パイプライン制御などの技術を用いて、当時世界最速の3GFLOPSを実現
「地球シミュレータ」
- 開発者:宇宙開発事業団、日本原子力研究所、海洋科学技術センター、NEC
- 運用開始:2002年3月
- スーパーコンピューターの計算性能のベンチマークテストで2002年6月~2004年11月に5期連続で世界ランクトップを維持
スーパーコンピューター「京」
- 開発者:理化学研究所、富士通
- 共用期間:2012~2019年
- 2011年に世界で初めて10PFLOPS(1秒間に1京回の計算)の計算性能を達成したスーパーコンピューター
分散コンピュータ博物館
富士通「DNA館」
- 富士通の通信、コンピューター、周辺装置、部品(半導体ほか)を展示。ものづくりの“DNA”を継承する場として活用
なお、認定式は3月5~7日に開催予定だった情報処理学会の第82回全国大会で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って中止になり、後日別の場で認定証の贈呈を行う予定だとしている。