本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ヴィーム・ソフトウェアの古舘正清 執行役員社長と、クリックテック・ジャパンの今井浩 カントリーマネージャーの発言を紹介する。
「3年後には日本のデータバックアップ市場でシェアトップになる」
(ヴィーム・ソフトウェア 古舘正清 執行役員社長)
ヴィーム・ソフトウェアの古舘正清 執行役員社長
スイスのVeeam Softwareの日本法人であるヴィーム・ソフトウェアが先頃、データバックアップソフトウェアの最新版「Veeam Availability Suite v10」の国内での提供を開始すると発表した。古舘氏の冒頭の発言はその会見の質疑応答で、最新版の投入を機に、国内データバックアップ市場でのシェア争いに向けた意気込みを聞いた筆者の質問に答えたものである。
Veeam Availability Suiteは、同社がビジョンとして掲げる「クラウドデータマネジメント」を実現するデータバックアップソフトウェアの主力製品。最新版では、データの可用性、ポータビリティー、拡張性を向上させる次世代のデータ保護機能を装備したという。
Veeam Availability Suite v10の特長
また、NAS(ネットワークアタッチドストレージ)向けに最新のファイルデータ保護を提供。ランサムウェアからデータを保護するための大幅な強化や、マルチVM(仮想マシン)インスタントリカバリーによる災害復旧(DR:ディザスタリカバリー)の自動化も実現するとしている。
この他にも、プラットフォーム拡張性の強化、APIを介したデータマイニングなど、150以上の大規模な機能強化を行ったという。
今回の会見の内容については関連記事、また、Veeam Softwareの特徴や同社のビジョンであるクラウドデータマネジメントの説明については、筆者が古舘氏に取材した2019年10月23日掲載の本サイト・トップインタビュー「あなたの会社のバックアップは使えるか―ヴィーム日本法人社長が訴求」をご参照いただきたい。
そのインタビューで、古舘氏はデータバックアップ市場のシェアについて、「既に欧州ではトップになっており、今の成長の勢いからすると、3年後には日本を含めたグローバルでもトップになるだろう」と、Veeam Softwareの躍進ぶりを予測していた。
それを受け、今回さらに大規模なバージョンアップを施した主力製品の最新版を投入したことから、会見の質疑応答で、改めて日本のデータバックアップ市場でのシェア争いについて聞いてみたところ、古舘氏は次のように答えた。
「今回の最新版投入で、国内のデータバックアップ市場でも普及の勢いがさらに加速することは間違いない。これを機に、日本でもクラウドデータマネジメントという考え方を深く浸透させて、3年後にはシェアトップを獲得したい」
筆者が改めて言わせた感じもあるが、古舘氏はそれも承知の上で「3年後にシェアトップ」とスッパリ言い切った。そのチャレンジに注目していきたい。