アクセンチュアQlik Technologiesは、「データリテラシーによる人への影響」と題する調査レポートを発表した。多くの企業がデータ活用を好機として捉える一方、従業員がデータから価値を生み出すのに十分な能力を持たずギャップが生じている、と指摘している。
調査は、2019年9月に日本、英国、米国、ドイツ、フランス、シンガポール、スウェーデン、オーストラリア、インドの従業員50人以上の企業の正社員9000人を対象に実施した。日本の対象は1000人。
レポートによると、情報やデータ、技術的問題によるストレスによって、企業は毎年、従業員1人当たり平均5日以上(日本は4日以上)の時間を損失しているという。生産性の損失額は、米国の1094億ドルを筆頭に、ドイツが237億ドル、日本が152億ドル、英国が132億ドル、フランスが109億ドル、オーストラリアが94億ドル、インドが46億ドル、シンガポールが37億ドル、スウェーデンが32億ドルに上るとする。
この推計は、データ関連業務を先延ばしたケースについて、病気休暇による年間の平均損失時間をもとに試算。日本は平均就労週数35.9週というデータから、データに関連する病気休暇によって、従業員1人当たりの年間平均損失時間は34時間55分になるという。
また、従業員のデータリテラシー(データを正確に読み取り、活用できること)が企業の求めるレベルに達していないことで、企業がデータを活用してビジネスを行う上での課題が浮き彫りになったとする。
日本では、従業員の90%(グローバルは87%)が「データを資産」と認識しているが、データを活用して意思決定する従業員は少数だった。調査では「データを効果的に利用するために十分な準備ができている」との回答が日本では15%(グローバルでは25%)、「データリテラシースキルに自信がある」との回答は同9%(グローバルでは21%)だった。日本では32%(グローバルでは37%)が、「データを活用することでより信頼性の高い意思決定ができる」と回答した一方、実際の意思決定は「データに基づいた知見よりも直感に頼ることが多い」とする回答が38%(グローバルでは48%)に上った。
さらに、日本では70%(グローバルでは74%)が、「データを利用する際に困惑する」または「不満を感じ、作業効率に影響する」と回答した。43%(グローバルでは36%)は、「データを使用しない別の方法を考えて業務を行う」とした。58%(グローバルでは61%)は、「データが多過ぎることが職場でのストレス」とし、16%(グローバルでは31%)は「情報、データおよび技術的問題のストレスによる病気休暇を1年で1日以上取得する」と答えた。