アクセンチュアは2月20日、2019年9月に最高経営責任者(CEO)へ就任したJulie Sweet氏が初来日したことを受けて、国内報道機関向けの記者説明会を開催した。
アクセンチュアのCEOに就任したJulie Sweet氏
Sweet氏は、2019年9月1日付けでCEOに就任し、取締役に加わった。2015年から同社最大の市場である北米地域のCEOを務めていた。また、これまで10年近くグローバル経営委員会(Global Management Committee)のメンバーとして、同社の投資戦略と成長戦略の中核を担ってきた。
また、同社のゼネラルカウンシル、カンパニーセクレタリー(会社秘書役)、最高コンプライアンス責任者という要職も5年間にわたって務めてきた。主席法律顧問として、合併買収戦略をはじめとして、さまざまな大型取引や商取引に対して積極的な役割を果たしてきたという。
同氏が今後の企業戦略として中核に据えるのが、「Digital is Everywhere」になる。「2020年はデジタルとテクノロジーの可能性を探求する10年の始まりになる。デジタルはもはや当たり前の世の中であり、全てのサービスに組み込まれるべきである」とSweet氏は話す。
そうした市場の変化に対応し、顧客の成長を支えるため、事業組織を「ストラテジー&コンサルティング」「インタラクティブ」「テクノロジー」「オペレーションズ」の4つのサービスに再編した。戦略の立案から実際の運用に至るまで、あらゆる側面にデジタル技術を組み込み、顧客に最適化されたサービスを高い俊敏性を持って提供できる体制へと強化を図った。
(左から)成長市場担当 CEOのGianfranco Casati氏とCEOのJulie Sweet氏
Sweet氏は「積極的にAI(人工知能)を活用しないと、2025年までに著しく業績が低下するリスクがある」と警鐘を鳴らす。同社が2019年11月に発表した最新調査によると、日本企業の経営幹部の77%(グローバル全体では75%)が、AIをビジネス全体に積極的に導入しなければ、2025年までに著しく業績が低下するリスクがあると考えているという。その一方で、AI機能を本格的に備えた組織の構築を実現している企業はわずか16%にとどまっている。
今後の経営方針について聞かれると、「クライアント企業のニーズをくみ取り、優秀な人材をそろえ、変化を恐れないこと。この成功の方程式はこれからも変わらない」と言い、リーダーに求められる能力については「謙虚であることが大事。従業員の努力を応援し、成長を手伝ってあげられるかどうか」だとの考えを示した。
同氏は社外においても、イノベーションやテクノロジーがビジネスに与える影響やインクルージョン&ダイバーシティーなど、多岐にわたるテーマでリーダーの役割を果たしているという。財界・教育会・政府を含めた各界のリーダーと連携し、全国的なプロフェッショナルの育成制度の展開にも取り組んでいる。
アクセンチュアは、1953年の創業以来、51カ国・200都市以上に拠点を構え、50万人超の従業員を抱える規模にまで成長した。売上高は2019年8月時点で432億ドルになる。Sweet氏は、同社が上場会社になってから5人目のCEOで、女性としては初めての起用になる。同氏の今後の舵取りに注目していきたい。