「データを取り扱う業務を効率化したい」――、こう語るのはデータ管理プラットフォームを提供する米Domo 最高戦略責任者(CSO)のJay Heglar氏だ。これまでデータを活用できるのは一部の限られた従業員だけだったが、全社的なデータ活用を推進することで、多くの企業が競争優位性を見いだそうとしている。
米Domo 最高戦略責任者(CSO)のJay Heglar氏
ただ、部門を横断したデータ活用が進まない要因の一つがデータの分断化にある。部門や部署など複数のシステムに分散して保存されたデータが、全社的なデータ活用を阻んでいる。
Domoは、データの接続、保存、準備、可視化、共有など、データ活用に必要な機能を網羅している点が特徴だ。クラウドベースのプラットフォームであるため、「ハードウェアの制約を受けず、スケーラブルかつセキュアな運用が可能」(Heglar氏)だという。
その中でも、特に強みの一つとして挙げられるのがデータコネクション(データの接続)である。Domoは単なるビジネスインテリジェンス(BI)ツールではなく、iPaaS(integration Platform as a Service)としての側面も持ち、オンプレミスやクラウドを問わず一般的なデータソースに対応する1000種類以上の作成済みコネクターを用意している。
「Domoはデータコネクションからデータウェアハウス、エンドポイント(のアプリ)まで全部が一つになっている。顧客企業にとっては、管理するプラットフォームやベンダーが少なくて済むというメリットがある」(Heglar氏)
自社の製品を「ビジネスを動かすプラットフォーム」と位置付けている点も特徴の一つだ。単にデータをグラフやチャートで可視化するのではなく、そのデータを解釈した上で能動的にアクションが取れるような洞察を提示するのだという。
同社では、特定の業界・職種・用途に応じてデータ活用に必要な機能をまとめたものを「App」(アプリ)として提供している。事前に定義されたテンプレートとベストプラクティスに基づいてKPIが自動的に展開される仕組みとなっている。現在は、小売業界で求められる指標を必要なときにリアルタイムで提供する「Retail Suite」、全ての広告データをに1カ所に集約してオンデマンドでインサイトを得ることができる「Media Suite」、予測インサイトの作成に必要な指標を得る「Data Science Suite」、複数チャネルのマーケティングレポートをリアルタイムで作成する「Marketing Suite」がある。
必要な機能を持つアプリがなければ、独自のカスタムアプリを作成して社内で利用したり、同社のアプリストアで公開したりすることも可能だ。
米NIKEでは、店舗で働く従業員を“ストアアスリート”と呼び、十分なトレーニングを受けた上で店内を案内するなどの接客を行っている。その店舗スタッフのデータ活用を支える基盤としてDomoのアプリが使われていると、Heglar氏は話した。
また、P&G傘下のSK-IIブランドは店舗の業績管理に、米国のスマートホーム企業は年間予算の進捗管理に、それぞれDomoのアプリを活用しているという。
「全てのエンドユーザーがデータを活用すべきというのがDomoの信念だ。小売店舗の販売員などは、これまで十分なツールが与えられてこなかった。先進的な小売業では、現場にデータを提供する取り組みが進んでいる」(Heglar氏)
データ活用のすそ野が広がってきた一方で、従業員によるデータ活用への理解も重要になるとHeglar氏は指摘。これまでの業務プロセスを見直し、データ駆動型の組織にシフトする必要があると説く。
日本市場については、「たくさんのデータがあるのに資産として十分に使われていないのが現状だ」と分析し、「携帯電話やモバイルの領域でリードしてきたのに、職場の情報とうまく連動できず、大きなギャップが生まれてしまっている。Domoがやろうとしているのは、一人ひとりの手にデータを届け、そのギャップを埋めることだ」と語った。