セルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)の外資系有力ベンダーが、IT大手の傘下に入ったり、日本法人の経営トップが代わったりと、相次いで新たな動きを見せており、“群雄割拠”の様相だ。その背景には、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)需要の拡大があるようだ。
SalesforceがTableau、GoogleがLookerを買収
企業においてBIといえば、かつてはデータ分析の専門家が使用しIT部門が運用する「エンタープライズBI」が中心だったが、その後、エンドユーザー自身で分析やレポートの作成ができる「セルフサービスBI」が広がった。
そのセルフサービスBIツールを提供する外資系有力ベンダーが、このところ相次いで新たな動きを見せている。
まず、グローバルで8万6000社を超える導入実績を持ち、セルフBIツールとして今、最も勢いよく顧客数を伸ばしていると目される米Tableau Softwareが2019年秋、米Salesforce.comの傘下に入った。ただし、Salesforceによる買収後もTableauブランドは健在だ。
Tableau日本法人社長の佐藤豊氏
Tableau日本法人社長の佐藤豊氏はこの動きについて、「Salesforceとの連携で顧客企業のDXの取り組みが次のステージへ行くだろう」と語っている(写真1)。
また、Tableauと同じく普及の勢いの良さで注目されている米Looker Data Sciencesも2020年2月、米Googleの傘下に入った。こちらも、Googleによる買収後もLookerブランドは健在だ(関連記事)。
Lookerの幹部はこの動きについて、「Googleがミッションとして掲げている“全ての情報を使いやすく”の“使いやすく”を具体的にどうするのかというところで、Lookerがデータ活用の高度化を図っていく役目を担うという素晴らしいシナジーを発揮できるのではないかと考えている」と語っている。
買収される企業というと、とかくネガティブに捉えられがちが、TableauもLookerも買収したSalesforceとGoogleが熱心に“ラブコール”を送っていたことが注目される。