インターネットのウェブインフラサービスを手がけるCloudflareは米国時間4月9日、これまで利用してきたGoogleのスパム防止サービス「reCAPTCHA」のサポートを終了し、「hCaptcha」という新たなボット検出プロバイダーに移行していくと発表した。
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提供:ZDNet, Google
Cloudflareの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のMatthew Prince氏は今回の移行について、reCAPTCHAサービスの利用に課金するというGoogleの計画を受けたものであり、同サービスの利用を継続すれば「年間当たりのコストが数百万ドルも増加」し、その費用は間違いなく顧客に転嫁しなければならなくなっていたと述べている。
またPrince氏は今回の発表で、「それ自体(reCAPTCHAに課金すること)は彼らの権利だ。Cloudflareが扱っている規模を考えた場合、reCAPTCHAサービスに対してかかっていたコストは、Googleにとってさえも著しいものだったのは間違いない」と述べている。
さらに同氏は「画像分類のための訓練の価値がそのコストを上回らなかった場合、提供しているサービスに対価を求めることはGoogleにとって完全に筋が通っている」と付け加えている。
Prince氏によると今後Cloudflareは、カリフォルニア州に拠点を置くIntuition Machinesによって提供されるスパム防止用の新たなCAPTCHAシステム「hCaptcha」をCloudflare製品に実装していくという。
Intuition Machinesは通常の場合、画像分類の実験を行いたいと考えている企業に対してhCaptchaへのアクセス権を貸与し、その後hCaptcha製品を実装したウェブサイトのオーナーへの支払いをする中で収入を得ている。
しかしCloudflareによると、同社はhCaptchaの利用に対する支払いをIntuition Machinesから受けるのではなく、Intuition Machinesに対して使用料を支払うのだという。Prince氏は、これによってIntuition MachinesがCloudflareの要求に見合うだけのインフラを強化するためのリソースを確実に用意できるようにすると述べている。
W3TechsによるとCloudflareは現在のところ、インターネット上の全ウェブサイトの11.3%に対するマネージドDNSプロバイダーであり、インターネット上の全ウェブサイトの12.4%に対するリバースプロキシー(ファイアーウォール)プロバイダーとなっている。
Prince氏は、hCaptchaを利用する上で追加のコストが発生するものの、「そのようなコストはreCAPTCHAの使用(で発生するであろう)コストのごく一部だ」と述べている。
さらにhCaptchaの採用によって、CloudflareがreCAPTCHAを使用していた際に直面していた2つの問題にも取り組むことになる。1つ目は、reCAPTCHAが中国で断続的にブロックされており、Cloudflareが中国をベースにしたウェブサイトとユーザーに対してreCAPTCHAを使用できないという問題だ。
2つ目は、Googleが要求している、プライバシーに踏み込んだデータ収集ポリシーがある。Prince氏によると、hCaptchaではユーザーがフォームに入力する際に収集するデータをずっと少なく抑えられるため、Cloudflareはプライバシーに関して心配する必要がなくなるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。