政治キャンペーンはハッカーらの主要なターゲットの1つだが、そのほとんどは必要とされるサイバーセキュリティを導入できていない。この問題の解決に向けてCloudflareは米国時間1月15日、米国をはじめとする世界の政治キャンペーンを支援する無償のセキュリティサービスを提供すると発表した。
提供:Julia Rendleman for The Washington Post via Getty Images
この「Cloudflare for Campaigns」サービスは、大規模なキャンペーンに限らず、小規模なキャンペーンも対象としている。米国では特定の基準を満たす政党の候補者に無償でサイバー保護を提供する。寄付金額が少なくとも5万ドル(約550万円)ある米連邦議会下院議員の候補者と、寄付金額が少なくとも10万ドル(約1100万円)ある上院議員の候補者などがこのサービスを利用できる。
Cloudflareの最高経営責任者(CEO)Matthew Prince氏は、「われわれは、(候補者が)選挙戦を戦うために保護されるとともに、民主主義が本当に機能することを保証したい」と述べている。
このサービスが可能になったのは、2019年5月に米連邦選挙管理委員会(FEC)が、「Defending Digital Campaigns」(DDC:デジタルキャンペーンの保護)という非営利団体に対して、政治キャンペーンにかかわるサイバーセキュリティサービスを無償で、あるいは割引きで提供することを許す決定を下したためだ。それまで、企業がそのように支援することはFECのガイドラインの規定外となっていた。Defending Digital Campaignsは、政治キャンペーンがCloudflareなどのサービスを利用できるようにするための特別な許可を求めていた。民主党議会キャンペーン委員会(DCCC)や民主党全国委員会(DNC)、2016年のHillary Clinton氏のキャンペーンスタッフに対する攻撃に見られるようなハッキングがもたらす脅威が高まっているためだ。
Defending Digital Campaignsは同団体のウェブサイトで、どういった政治キャンペーンが無償のサービスを受けられるのかといった情報を公開している。
また同団体は、モバイルセキュリティ企業Lookoutや、フィッシング対策企業Area 1 Security、メッセージの暗号化サービスを手がけるWickr Securityなどによる政治キャンペーン向けサービスも提供する。
Cloudflareは、DDoS攻撃を緩和するサービスのほか、「Cloudflare for Teams」サービスなどを提供する。Cloudflare for Teamsは、ハッカーの侵入を許さないようにしつつ、組織のメンバーがさまざまなデバイスや場所からデジタルリソースにアクセスできるようにするサービスだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。