自宅待機要請が出ている地域でも、建設業は必要な仕事であると見なされている場合が多い。建設作業では、人間が実際に現場に集まって仕事をする必要があるが、この業界にも遠隔でできる仕事が幾つもあることはあまり知られていない。
以前から遠隔作業を取り入れていた多くの業界とは違って、建設業界では常に顔を付き合わせて仕事をしてきた。しかし、その状況も変わりつつある。
建設業界に詳しい、OpenSpaceの最高経営責任者(CEO)Jeevan Kalanithi氏は、「今回のパンデミックが起きる前にも、建設現場にはさまざまなデジタルツールが導入され始めていた。その中には、写真記録の作成などの遠隔作業を可能にする技術もあった。私たちが今経験している状況は、そうした技術の導入を加速する可能性が高いが、この業界は、どのみちその方向へ進もうとしていた」と話す。
パンデミックによって、企業は遠隔作業を可能にする技術の導入を迫られているが、建設業界でも、現場で働く人間をできる限り少なくする方法を模索するのが合理的だ。Kalanithi氏が指摘しているように、建設業界では、大きな技術転換が既に起きており、ビッグデータや人工知能(AI)、自動化をはじめ、ドローンのような関連技術の導入も広く進んだ。
建設現場に遠隔操作ロボットを送り込み、人間の作業員は自宅のソファーに座って操作するような時代は、当分はやってこないだろう。しかし、一部の作業員が自宅で作業できるようになるツールは存在する。
米ZDNetは、2018年にステルスモードから脱した直後からOpenSpaceを追いかけてきた。同社は、作業員がヘルメットに小さなカメラを付けて建設現場を歩くだけで写真記録を作成できるソリューションを提供している。このソリューションは、画像のキャプチャー、アップロード、整理を自動的に行ってくれるというものだ。これを使用すると、コンピュータービジョンによって、「Googleストリートビュー」に似た操作体験を作成できる。リモートで作業する作業員は、どこからでもこれを見て分析することができる。
Kalanthini氏は、「遠隔医療では、患者が医者のところに行くのではなく、患者のいるところで医者に会えるようにしてアクセシビリティーを改善している。同じように、『遠隔建設業』も近いうちに市場に普及し、現場監督やプロジェクトマネージャー、検査員、職能集団の親方などの知識を生かせるようになるだろう。建設現場をキャプチャーした情報が高品質であれば、直接現場を訪れる必要性は減り、時間と経費を削減できる。また、知識の継承にも役立つ」
同社のフレームワークを使えば、プロジェクトマネージャーやクライアント、検査員などが(これらは全て、通常は現場で働く作業員だ)、デジタル的に現場を歩き回ることができ、時間を巻き戻して建設作業の進ちょくを再確認することもできるようになる。これは普段の状況でも安全性の向上に大きな役割を果たすが、今回のような世界的な健康危機が発生している状況では特に役に立つ。
「安全性を確保するための最善の方法は、現場に行かないことだ。もちろん建設業では、現場に誰もいないのでは仕事は進まない」(Kalanthini氏)
OpenSpaceは、パンデミック時における建設会社を支援するために、「OpneSpace Photo」の早期リリース版と、製品のマニュアルの基礎編を無料で提供している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。