"Linuxの生みの親"トーバルズ氏が考える在宅勤務--「バスローブのまま、猫の相手をしても良い」

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-03-27 08:30

 在宅勤務をしている部下を持つ上司は、その部下が本当に仕事をしているかどうか確信を持てないはずだ。しかし、そんな時にはLinus Torvalds氏のことを考えてみるべきだ。同氏は自宅でプログラミング作業を進め、デスクトップPC以外のジャンルで不動の地位を築いているLinuxというOSと、世界中のすご腕ソフトウェア開発者が使用しているGitという製品を生み出した。

 Torvalds氏によると、自宅での作業を開始した際には「人との付き合いがなくなる、つまりオフィスや廊下での会話だけでなく、一緒に昼食に出かけるといった人間関係がなくなる点を心配していた。しかし、なくなっても何も問題はないと分かった」という。

 「『社交的になるな』と主張するのは素晴らしいティップスになり得ない」のはもちろんだ。また、多くの外向的な人々が感じているように、自宅での作業は必ずしも快適というわけではない

 このためTorvalds氏は、「自宅で仕事を進める場合の『本当』の良さがもたらす利点、すなわち柔軟性」を重視し、「自宅にオフィスの複製を作り上げようとしない」ことを提言している。

 同氏は「自宅からオンライン会議を実施し、オフィスにいた時と同じように何時間もの時間を費やすというのは、オフィス生活における悪い部分をそのまま自宅に持ち込むことと同じであり、今まで以上にひどい結果になる」と述べた。

 Linuxカーネルのコミュニティーは、その舵取りに会議ではなくメーリングリストを使用している。IBM Researchのディスティングイッシュドエンジニアであり、Torvalds氏と緊密に作業しているLinuxカーネルの上級開発者であるJames Bottomley氏は次のように説明している。

 主なルールは、文字によるコミュニケーションで可能な限り明確にすることを試みる、つまり送信する前に再び内容に目を通し、読み手がどのように理解するのかを想像するというものだ。また、できるだけ短くする必要もある。というのも、そうしなければ人はすぐに興味を失い、斜め読みをし始めるためだ。斜め読みでは、考えを完全に吸収できないため数々の誤解を生み出してしまう。

 Torvalds氏は「もしも『9時から5時までという新生活を自宅で始めよう』とするのであれば、自宅や自分自身、自らの人生を嫌いになってしまうだろうと考えている。すべてがマイナスでありプラスはまったくない」と述べた。

 Torvalds氏の会議に対する考えを簡単に述べると「自分の人生は1週間に1時間以上の会議につき合うには短すぎる」というものになる。同氏は、「以前とまったく同じように作業を再現するための代替物としてビデオ会議を使用するのではなく、自らの仕事の進め方を根本から変革するべきだ」と確信している。そして非同期型のコミュニケーションモデル、つまりインスタントメッセージ(IM)や電子メール、カレンダーの共有といったものを使おうというわけだ。

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