新型コロナウイルスの感染が拡大する中、データ通信量が急増しているという。外出自粛によって自宅でインターネットを利用する機会が増えているからだ。まだ切羽詰まった状況ではないようだが、「不要不急のネット利用は自粛して」と要請される日が来ないとも限らない。今後の事業および社会の継続におけるリスク要因として捉えておく必要がありそうだ。
不要不急の外出自粛でデータ通信量が急増
「3月のデータ通信量が前月比4割増加」――。4月4日付けの日本経済新聞が一面トップで伝えたこのニュースに、筆者は強い危機感を抱いた。記事によれば、3月下旬の通信量(日中)が2月比で最大4割増になった。その理由として、新型コロナウイルスの感染を防ぐために、外出自粛でテレワークが広がり、企業の利用と動画配信サービスなどが増えていることを挙げている。
世界でも同様にデータ通信量が膨らんでいる。その飽和を回避しようと、米国の動画共有サイト「YouTube」は、欧州連合(EU)の要請に応じて動画の画質を制限。Netflixも欧州などで画質を低下させ、通信量を25%削減しているという。
もっとも、国内の通信事業者によれば、インターネットの回線設備としては現在の2倍に増えても耐えられる設計になっているとのことから、とりあえずは切羽詰まった状況ではないようだ。
ただ、このニュースを受けて、筆者も通信分野の関係者に話を聞いてみたところ、「コロナ禍が長引いて、教育や医療などの社会インフラがオンラインに乗るようになってくると、通信回線のキャパシティーに対して懸念する声が出てくるかもしれない」とのことだった。
筆者がこのニュースに強い危機感を抱いたのは、過去にも2度、通信回線のキャパシティーに対して懸念する「通信危機」の記憶があるからだ。
改めて、その2度の時を思い起こすべく、当時に自分が書いた記事を引っ張り出してみたところ、1度目は2004年、ブロードバンド通信サービスの普及によって通信量が増加し続け、このままだと数年後には回線がパンクする可能性があると、総務省が発信して話題になった。