Gitリポジトリー管理ソフトウェアを手がけるGitLabは4月28日、日本市場への本格参入を発表した。同日には報道向け説明会がオンライン開催され、企業戦略や事業展開などが明らかにされた。
GitLabの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のSid Sijbrandij(シッツェ・シブランディ)氏は、同社製品の特徴について「単一のアプリケーションで提供される完全なDevSecOpsプラットフォーム」と説明した。開発者(Developer)、運用管理者(Operator)、セキュリティスタッフ(Security)の3者のコラボレーションを実現することで、デジタル変革(DX)に取り組む企業が「より迅速にアイデアをユーザーに届けられる」(同氏)ようにすることを支援する。
共同創業者で最高経営責任者(CEO)のSid Sijbrandij氏
同氏は「単一のアプリケーション」という点を強調する。「GitLabなしでDXを実現しようとすると、おおよそ10以上のアプリケーションを組み合わせる必要がある」と指摘し、GitLabを導入することで多数のアプリケーションを導入するためのコストやアプリケーション間の連携を可能にし、適切に管理するための工数などを削減できるという。
また、GitLabでは、多数の製品を組み合わせた“ベストオブブリード”環境よりも機能面で優れているとした。なお、GitLabでは開発者向けに無償で利用できるオープンソース版(Free/Core)の上に、「Bronze/Starter」「Silver/Premium」「Gold/Ultimate」の3種類が用意される。基本的な機能は共通するが、上位版ほど使える機能が増え、ビジネスマネージャー向けの機能が提供されるようになるイメージだ。同社の売り上げに占める比率では、最上位のGold/Ultimateが70%だという。
日本担当カントリーマネージャーの村上督氏
なお、現在は新型コロナウイルスが世界に流行しているが、同社では以前から全世界でオフィスレスの完全なリモートワーク体制を構築していたといい、パンデミックやそれに伴うロックダウンなどの影響は軽微だという。こうした体制のため、同社には以前から国内在住の日本人社員もいたそうだが、基本的にはグローバルの仕事を担う人材がたまたま日本人だったという位置付けであり、日本市場でのビジネスもこうした体制で行われ、既に65社超の日本企業が有償版を利用しているという。
こうした状況下であえて日本法人を設立した意味について、日本のカントリーマネージャーに就任した村上督氏は「日本の社会やビジネスに寄与できる」との考えがあったことを明かした上で、「戦略的な展開として、次のステップに行くためには国内に拠点を作る必要があると考えた」とした。